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2005年のラム肉輸出、好調な滑り出し(豪州)


1〜2月の輸出量は過去最高の水準

  豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は先ごろ、2005年2月のラム肉輸出量を発表した。これによると、
輸出量は前年同期比14%増の1万900トンとなり、1〜2月の合計輸出量は1万9,300トンと過去最高の水
準を維持している。米ドルなどに対して豪ドル高で推移する最近の為替動向をしり目に、強い需要に支え
られ2005年のラム肉輸出は好調に滑り出した。


 豪州のラム肉輸出は、2001年末の米国での豪州・ニュージーランド(NZ)産ラム肉に対する輸入制限
措置の撤廃や、海外市場での急速な需要の高まりを受けて輸出規模が拡大しており、2004年の輸出量は11
万1,600トン(枝肉重量ベース、以下同じ)と、2000年の11万1,900トンに次ぐ数量を記録している。



米国、中国向けなどを中心に増加

  2月のラム肉の輸出を仕向け先別に見ると、豪州最大の輸出市場である米国向けは、復活祭前のラム肉
需要を受けて、前年同月比17%増の3,860トンと大きな増加をみせた。米国へは、2004年に3万2千トン
を輸出しており、同年の豪州からのラム肉輸出量全体の24%を占めている。

 アジア向けでは、主要輸出先である中国向けが、冷凍品や低級部位を中心に需要が高まり、2月は前年
同月比9%増の952トンとなった。中国では、経済発展に伴う食肉需要の高まりなどから、ラム肉などの
市場規模が急速に拡大しており、2004年の輸出量は前年比44%増の9,370トンを記録している。また、2004
年に前年比30%増の7,234トンの輸出を記録した日本向けは、同じく6%増の478トンとなった。

 これらの国々とは対照的に2月のEU向けは、関税割当枠の範囲内で、輸出が好調なラム肉からマトン
肉へと切り替えられたことから、前年同月比27%減の814トンにとどまった。現在、豪州とEUとの間で
は、羊肉輸出に関して毎年18万7千トン、NZとEUとの間では22万7千トンの関税割当枠が認められて
いる。



生産量は上向きとの予測、価格は下げ基調

  このような中、豪州国内の生産状況については、引き続き増加との見通しが出ている。豪州農業資源観
測局(ABARE)が先ごろ発表したラムに関する生産見通しによれば、米国などの強い輸出需要を受け
てラム肉の生産量は年々増加し、2004/05年度(04年7月〜05年6月)には35万トン、5年後の2009/10年
度には42万2千トンに達するとしている。

 また、生体価格については、飼養頭数の増加に伴い流通量が増える分、若干の下げに転じるとしており、
2004/05年度のキログラム当り355セント(298円、1豪セント=0.84円)から2009/10年度には同330セント
(277円)程度まで緩やかに下がるとみている。





天候要因によりNZの輸出量は減少

  一方、同じくラム肉の主要輸出国の一つであるNZでは、豪州とは対照的に厳しいスタートとなった。
2005年1〜2月のラム肉合計輸出量は5万7,800トンと前年同期比6%の減少となった。この時期、米国
などでの復活祭を控え、NZ国内のラムの出荷量は増加するが、肉羊生産地帯での長引く降雨の影響によ
るラムの出荷制限が伝えられており、これが思わぬ減産要因となった。

 しかしながら、2004年(03年10月〜04年9月:畜産物統計年度)のNZのラム肉輸出量は、35万8千ト
ン(前年比0.2%減)を記録しており、上昇基調で推移する価格や輸出需要増などを背景に、90年以降、
ラム肉の輸出量はおおむね増加傾向となっている。



 
 
 
【シドニー駐在員 横田 徹 平成17年 3月23日発】  
 

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