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連邦政府が次期予算案を発表、検疫などの強化に重点(豪州)


8期連続黒字予算案、個人所得税減税が目玉

  連邦政府は5月10日、2005/06年度(7〜6月)の連邦予算案を発表した。同年度の実質国内総生産(GDP)
伸び率3%という経済見通しの下、歳入は前年度比5.8%増の2,145億豪ドル(18兆180億円:1豪ドル=84円)、
歳出は同5.7%増の2,061億豪ドル(17兆3,124億円)と8期連続の黒字予算案となった。ハワード政権にとって
10回目となる今回の予算案では、第一次産品の輸出拡大など好調な国内経済を反映して税収の増加が見込まれる
中で、4年間で総額217億豪ドル(1兆8千億円)からなる個人所得税の減税、新たな就業対策の実施などが目
玉となっている。



農業関連予算は前年度比15%の削減

  農漁林業省関連の予算規模は、全体で約17億豪ドル(1,428億円)となり、前年度比15%の削減となった。予
算構成をみると、全体の約50%を検疫や輸出対策などで占め、残りは産業振興、国土保全、地域対策としてい
る。連邦政府は、単年度予算とともに実施期間分の予算を併せて計上している。畜産関連項目の概要は次のと
おり。

○検疫体制の強化として4年間で総額5億6千万豪ドル(470億4千万円) 
  
  口蹄疫や鳥インフルエンザなどの家畜伝染病や植物病害虫の侵入などに備えるため、バイオセキュリティー
 対策の実施、空港や港湾など水際での検疫体制の強化、疾病などに対する注意喚起のための広報活動などを行
 う。

○農畜産物輸出検疫料の補助として1億4,400万豪ドル(120億9千万円) 
  
  牛肉を含む主要な農産物の輸出に関し、豪州検疫検査局(AQIS)による輸出検疫検査コストの40%相当
 額を負担する。

○全国家畜個体識別制度(NLIS)の追加支援として4年間で総額2千万豪ドル(16億8千万円) 
  
  2005年7月1日からすべての州(北部準州を除く)で、牛の個体識別制度であるNLISによる電子耳標の
 装着が義務化されるため、先に連邦政府の支出により設置された基金と併せてデータベースの高度化などを行
 う。

○その他の対策として、地方の食品加工産業の振興対策に4年間で総額1,200万豪ドル(10億円)、100%豪州産
 食品の販売促進費用として2年間で総額3百万豪ドル(2億5千万円)などを計上している。




トラス農相、検疫体制の強化は国際競争力を維持
  
  今回の予算案に対して農業者団体は、先の連邦選挙の公約がおおむね守られたとして好意的に受けとめている。
しかし、全国農業者連盟(NFF)など生産者組織が強く求めていた連邦政府による干ばつ対策への追加支援に
ついては、すでに相当額が確保されているとして見送られたことから、深刻化する干ばつ被害地域の農民からは
、不満の声が上がっている。

 連邦政府のトラス農相は、今回の予算案について国内の農畜産業を守るため、家畜疾病対策の強化など検疫体
制の整備などに重点を置いているとした上で、「これらの予算措置により、われわれの産業は国際環境の中での
競争が可能となり、引き続き利益をもたらすことになる。」と述べ、予算案が豪州の農畜産業にとって有益であ
ることを強調した。

 また、個人所得税が減税になることから、農民にとって収支状況の改善につながるとの期待を述べた。



【シドニー駐在員 横田 徹  平成17年5月17日発】  

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