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高値で推移する鶏肉価格 マレーシアにおけるブロイラーの農家販売価格は、昨年10月にはキログラム当たり3リンギ(84円:1リンギ =28円)を下回っていたものの、今年4月には政府の統制価格の上限である4リンギ(112円)とほぼ同じ3.98リ ンギ(111円)となり、上昇傾向で推移している。マレーシア畜産農家協会連合(FLFAM)によると、鳥インフ ルエンザの発生でペアレントストックの輸入が減少したことによるひな生産の減少や、高温の気象が続いたこと などで生産が減少し、価格の上昇につながったとしている。特にひな価格に関しては、昨年、1羽当たり1リン ギ(28円)前後で推移したが、直近の5月中旬には1.5リンギ(42円)に上昇している。 高温の気候が大きく影響 ブロイラー飼養羽数の多いマレー半島西岸部は、乾季となった昨年10月以降雨が少なく高温の気候が続き、こ のことが鶏の食欲減退と死亡率の上昇につながったとされている。成長の遅れに関しては、出荷体重である2〜 2.5キログラムに達するのは通常約40日であるが、それが約44日に伸び出荷が遅れる一方で、通常の出荷体重に満 たないで出荷される場合もあり、これも生産減少の一因とされている。 飼料の質の低下も一因 一般にブロイラー生産における費用の約7割は飼料費とされており、またトウモロコシが主要原料となってい るが、輸入を主とする同国のトウモロコシ価格は、国際価格の低下に伴い昨年の5月以降低下傾向で推移してい る。また、他の飼料原料である大豆かすなども同様に下落傾向で推移している。しかしながら、FLFAMによ れば、かつて飼料原料価格が上昇したことによって安価な低品質の原料使用が増えたことも、ブロイラーの生産 量の減少につながったとしている。 生鳥輸出は6%の減少 2005年1月から4月までの生鳥輸出は1,117万羽と、前年同期と比較すると6%の減少となっている。なお、 主な輸出先であるシンガポールへの輸出が昨年8月の鳥インフルエンザの発生後、いったん途絶えたものの、6 週間後には2州を限定して再開し、4月にはさらに2州が追加されている。 労働力不足も影響 また、現在の価格上昇の原因の一つに労働力の不足を挙げる生産者がいる。政府は昨年来、許可を受けないま ま不法に滞在する外国人労働者の取り締まりを強化しており、3月には強制送還を伴う措置を開始した。そのた め、120万人以上もいるといわれる対象者が農場などの職場を離れざるを得ない状況となっており、ブロイラーの 生産現場にもその影響が及んでいるとされている。 統制価格への不満が高まる このように様々な要因によって鶏肉価格が上昇傾向で推移しているものの、特に政府の保護が無いままに生産 者は統制価格の上限以下での販売を強いられる状況となっている。このことに対して、FLFAMの会長は、価 格の決定は市場に委ねるべきであり、限定された利益の下では質の向上よりも大量生産による薄利多売を強いら れるとして鶏肉への価格統制を批判している。 なお、鶏肉の価格統制制度は1995年に導入され、1998年に流通各段階における価格設定に変更されており、現 行の農家販売価格、卸売価格(頭部、足、内臓付き)、小売価格(同)はそれぞれ、キログラム当り4リンギ (112円)、5.4リンギ(151円)、6リンギ(168円)、となっている。 【シンガポール駐在員 斎藤 孝宏 平成17年5月19日発】
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