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米国産牛肉問題を背景に各社とも増産 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)はこのほど、2004年の食肉(牛肉および羊肉)処理加工業者 上位25社を発表した。この上位25社の順位は、前回2003年と同様、企業単位の牛肉および羊肉の年間 出荷重量を基準に算出している。これによると、上位25社の総年間出荷重量は205万トンに達し、各 社とも、おおむね前年水準を上回る結果となった。 2004年の状況を見ると、2002/03年度の干ばつによる早期出荷の影響を受けて、肉牛飼養頭数の回 復が遅れる中で、アジア各国での米国産牛肉輸入停止問題を背景に、豪州産牛肉への需要が急激に拡 大したことから、各社とも増産体制を打ち出し、年間の牛肉輸出量は過去最高水準となっている。 上位の構成は変わらずも、羊肉関係が躍進 上位5位の構成を見ると、オーストラリア・ミート・ホールディングス(AMH)社が、前回に引 き続き1位の座を維持した。米国資本の同社は、豪州国内に4つの処理加工場と4,900人余りの職員 を抱え、その生産量は豪州全体の16%を占めている。また、売上高も31億豪ドル(2,759億円:1豪 ドル=89円)に達するなど2位以下を大きく引き離している。また、前回3位のティーズ・ブラザー ズ社は、新たな処理加工場の建設などが寄与して生産量を大きく増加させ、今回は2位に順位を上げ た。3位は順位を1つ落とした日系資本のニッポン・ミート・パッカーズ・オーストラリア(NMP A)社、4位、5位は前回と同じ顔ぶれである。 一方、上位陣以外の動きでは、最近の羊肉需要を反映して羊肉処理加工業者が相次いで順位を上げ ており、今回は10位以内に3社が入るなど、その躍進ぶりが目立っている。 寡占化傾向が強まる食肉処理加工業界 豪州国内の食肉処理加工業者は、2001年の日本でのBSE発生による牛肉輸出の後退や、2002/03 年度の干ばつ後の家畜不足などを背景に、合併、閉鎖などによる集約化が進んでおり、これに伴う規 模拡大の結果、年々、寡占化傾向が強まっている。 豪州全体の食肉出荷重量に占める上位25社の割合は、全体の4分の3以上となる76%にまで達して おり、前回より1.5ポイント上昇した。また、牛肉のみの総出荷重量について上位5社でみると、全 体の半数近くを占める49%となっている。 今回の結果では、豪州資本の業者で増産傾向が強かったことから、上位25社の総出荷重量に占める 豪州資本業者の割合は、1991年の調査開始以来最高の水準となる60%を記録している。 【シドニー駐在員 横田 徹 平成17年11月2日発】
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