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米国下院農業委員会、WTO香港閣僚会合に向けた公聴会を開催 米国下院農業委員会は11月2日、世界貿易機関(WTO)のドーハ開発計画における農業交渉に関する 公聴会を開催し、香港閣僚会合に向けた米国内の農業団体などの意見を聴いた。当該公聴会では、米国が 本年10月に公表した農業に関する提案を支持するとともに、市場アクセスの大幅な改善を求める意見が述 べられた。 全国豚肉生産者協議会(NPPC)が公聴会で発言した内容は以下のとおり。 われわれは香港閣僚会合が成功を収める確率は、貿易相手先国への市場アクセスの大幅な改善と引き換 えに、貿易阻害的な国内支持を大幅に削減するのみならず最終的には廃止する意思を示したブッシュ政権 が行った最近の発表により、増大したと考えている。米国の国内支持に関する提案が正しい方向に交渉の 目を向けてきたことは、EUや日本のような高関税を維持している国々が市場アクセスの大幅な改善を拒 んでいることからも明らかである。 米国の豚肉生産者は過去の貿易合意により利益を享受してきたが、われわれがさらなる利益を得る可能 性が、輸入国による高い貿易障壁やEUの輸出補助金などの貿易阻害的な政策が依然として存在すること により妨げられている。 米国の豚肉生産者は以前からWTO交渉における第一の目標は、豚肉および豚肉製品に対する関税、輸 出補助金、貿易阻害的国内補助の早期完全撤廃であるとしている。 われわれが生まれながらに有する競争力を最大限発揮し得る可能な限りの機会が与えられることを保証 するという目標に向けて他のWTO加盟国に対して、米国は交渉力を活用するべきである。 米国の豚肉の関税率の平均は約1%であるが、ウルグアイラウンドの結果にもかかわらず、世界の豚肉 の関税率の平均は77%と農産品の平均である62%と比しても高い。米国がWTOの関税で直面している不 公正の解消は、高関税の大幅な削減による調整フォーミュラの使用のみにより達成される。このような好 例は日本である。日本は分岐点価格以下で輸入されるものについて高関税を適用している。米国の豚肉業 界の今次ラウンドにおける最大かつ唯一の市場アクセスに関する優先課題は、日本の分岐点価格の大幅な 引き下げと当該分岐点価格以下で輸入されるものに適用される関税の大幅な削減である。日本の豚肉の関 税の緊急措置は今次ラウンドで廃止されることが重要である。当該措置は日本市場における実質的な激し い変動を引き起こしており、近年の発動は米国産豚肉の輸出に深刻な障害となっている。 われわれは多くの国が豚肉を重要品目にしたいと考えていると推察している。このため、重要品目をタ リフライン数の1%に限定するとともに、重要品目に指定する代償として、大幅な関税割当枠の拡大をさ せることが重要である。また、われわれは高関税に直面しており、上限関税の設定が必要である。 最も貧困な国である後発開発途上国への特別かつ異なる扱いの必要性について理解するとともにこれを 完全に支持するが、ドーハ開発計画による貿易の自由化の影響を実質的に減ずることのないよう、競争力 を有する農産物輸出国や中所得国を排除することが重要である。 EUは関税割り当てのみならず、厄介な残留検査や不要な疾病の検査を維持しており、輸出コストの増 大を強要し、価格競争や品質競争による米国産豚肉の輸出機会の増大を阻害している。EUは輸出補助金 の扱いについて、他国の輸出信用や食料援助次第であるとしているので、NPPCは米国の輸出信用に対 する提案を支持するとともに、食料援助について、援助受容国における商業市場を阻害することを防止す るなどの新たな規律の設定を受け入れなければならないと考える。【ワシントン駐在員 犬飼 史郎 平成17年11月15日発】
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