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ブラジル、LMOの表示に積極的な姿勢


LMOを「含む」表示方法を決議

 3月13日から17日にかけて、ブラジル南部のパラナ州クリチバでカルタヘナ議定書締約国第3回会合
(MOP3)が開催された。カルタヘナ議定書は、遺伝子組み換え生物(LMO)の使用による生物多
様性への悪影響の防止を目的としており、わが国は2003年11月にカルタヘナ議定書を批准し、現在131
カ国とECが批准している。

  今回の会合では、食品・飼料として直接利用されまた加工を目的とするLMOの輸出に際して添付す
る書類をめぐっての議論が主に行われた。今回の議長国であるブラジルは、LMOを「含む」と表示す
る方法を提案し、会合を主導した。このブラジルの提案に対し、LMOを「含む可能性がある」と表示
する方法を主張する国もあったことから、LMOの表示方法については、最後まで議論が行われた。

  議論の結果、LMOの表示については、分別流通などによりLMOであることが認識されている積荷
についてはLMOを「含む」こと(ただし、分別流通などが行われておらず、LMOであることが確実
に認識できない積荷については、2012年までLMOを「含む可能性がある」と表示することもできる)、
併せて、LMOの一般名称、学名などを記述することが決議された。


ブラジル国内では賛否両論

 MOP3の議長国という大役を終え、ブラジル外務省は、今回の会合において最終的な同意が得られ
たことは歴史的出来事であると評価している。一方で、ブラジルの現地報道は、今回の決定事項は当然
のものであり、2012年までLMOを「含む」と表示することは義務ではないことが決められたにすぎな
いと冷やかな論調である。

  これに対し、ブラジル全国農業連盟(CNA)の国際問題委員会のロドリゲス副委員長は、LMOを
「含む」と表示を行うために輸出コストが10%増加するとし、「米国、カナダ、アルゼンチンと並ぶ大
豆輸出国であるブラジルは、唯一のカルタへナ議定書批准国であったことから、大きなコストを負わさ
れたことになった。ブラジルが自ら墓穴を掘る様子を、他の3カ国は観覧席から傍観することであろう。」
と述べている。

  しかしながら、わが国やEU諸国などの農産物輸入国の多くの消費者が、農産物中に含まれるLMO
に関して、より正確な表示を求めていることをかんがみると、LMOの表示に積極的な姿勢をみせたブ
ラジルは、カルタヘナ議定書を批准しない他の輸出国よりも有利な立場に立つともみられる。 




【ブエノスアイレス駐在員 松本 隆志 平成18年4月5日発】 


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