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2006年の豚肉需給予測について(EU)


豚肉生産は安定

 EUの豚肉関係者で構成される豚肉助言グループの予測委員会の需給見通しによると、2006年の豚肉生
産量は、EU25カ国全体では前年比1.0%増の2,133万トン(枝肉ベース、以下同じ)と、わずかに増加す
ると見込まれている。 

  主要国について見ると、EU最大の生産国であるドイツでは同1.4%増の456万トン、第2位のスペイン
では同0.6%増の318万トン、第3位のフランスでは同0.2%減の227万トン、第4位のポーランドでは同
11.4%増の215万トン、第5位のデンマークでは同0.5%減の178万トンとなっている。
 
  2006年の第2四半期(4〜6月)における主要国でのと畜頭数予測を見ると、スペインでの前年同月比
1.0%の増加を除けば、ドイツで同2.9%減少、フランスで同0.5%減少、デンマークで同0.7%減少と多く
の国ではやや減少すると見込んでいる。


価格は引き続き良好に推移

 EUの2005年の豚枝肉の年平均卸売価格は、100キログラム当たり139.10ユーロ(約2万円:1ユーロ
=144円)で、2004年の同138.41ユーロ(約1万9千9百円)とほぼ同水準であった。また、2006年は同
139.17ユーロ(約2万円)と見込んでおり、2004年以降ほぼ安定した値動きになると予測している。

  なお、2006年の四半期ごとの実績または予測価格は、第1四半期は138.76ユーロ(約2万円)、第2四
半期は140.73ユーロ(約2万3百円)、第3四半期は143.93ユーロ(約2万7百円)、第4四半期は
133.27ユーロ(約1万9千2百円)と値動きはほぼ2005年と同様の傾向になると予想している。ただし、
鳥インフルエンザ発生に端を発したEU域内の家きん肉消費の減退や、ブラジルでの口蹄疫発生に伴うロ
シアの食肉輸入停止措置の影響など、EU産豚肉の需要増加要因もあり、予測価格を上回る値動きも予想
される。




主要国の状況

  ドイツ:2006年のと畜頭数は2005年に引き続き増加するものの、デンマークから主に輸入する肥育素豚
          やと場直行豚が、前年比22%増と大幅に増加した2005年に比べ減少する見込みであることから
          伸び率は2.4%にとどまる。枝肉卸売価格は家きん肉の消費減退などの影響で2005年に比べ1.4
          %上昇すると見込まれるが、3月以降同国の主要な養豚地域で続発する豚コレラが価格に悪影
          響を及ぼす可能性がある。

  スペイン:2006年の生産量は2005年とほぼ同水準と見込まれる。一方、価格は、ロシアやラテンアメリ
            カ向けを中心に輸出が好調と予測されることから高水準で推移すると見込まれる。

  ポーランド:繁殖雌豚の増頭を背景に、2006年の生産量は前年比11.4%増と大幅に増加すると見込まれ
              る。価格については、特にロシアおよびウクライナの輸入停止措置が影響し、2005年は前
              年比20%減、2006年第1四半期は同7%減であったが、第2四半期は同5.5%と改善される
              と見込まれる。

  デンマーク:小規模農家を中心に飼養戸数の減少が続くが、2006年のと畜頭数は前年比0.2%減とほぼ同
              水準。枝肉卸売価格は安定して推移すると見込まれる。

  なお、3月以降ドイツで続発する豚コレラの撲滅対策として、5月15日までの予定でドイツ国内で豚の
移動に使用した車両などの洗浄・消毒や3日間の輸送使用の停止措置などが講じられているところであり
(駐在員情報第716号参照)、デンマークからドイツへの生体豚の輸出が大きく減少するようなこととなれ
ば、両国の価格や生産量の予測と実績が大きく乖離(かいり)する可能性も考えられる。




【ブリュッセル駐在員 和田 剛 平成18年4月19日発】


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