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酪農部門は緩やかな成長、牛肉部門は減少と予測 ニュージーランド(NZ)農林省(MAF)は7月、2009/10年度(6〜5月)までの畜産に関する中 期需給予測を発表した。これは、2005年12月に発表した2008/09年度までの中期予測に対し、その後の状 況の変化、特に主要通貨に対して下落したNZドル為替の動向を加味して見直したもの。これによると、 酪農部門は、緩やかながらも引き続き成長が見込まれるとする一方、牛肉部門では、肉牛飼養頭数の減少 などを背景に牛肉生産は減少傾向で推移するとしている。予測見直しの概要は次のとおり。 乳用雌牛の頭数は2009/10年度までに2.2%増加、環境問題などが規制要因 ○ 酪農部門 過去15年にわたって、NZの酪農産業は着実な成長を遂げてきた。今後、5年間については成長速度の 減速が予測されている。この要因として、乳牛飼養頭数の増加に伴い環境への影響が問題視されており、 地下水や水資源の管理規制が強化されつつあることが挙げられる。このため、2009/10年度における乳用 牛の飼養頭数は、2004/05年度に比べて2.2%増の419万2千頭、頭数にして8万9千頭の増加にとどまる とみている。MAFでは、国内での新たな酪農地の獲得が難しいことや、国際乳製品市場における価格下 落に伴う乳価の引き下げなどにより、2007/08年度までは、生乳生産の伸びも緩やかに推移するとしてい る。しかし、乳牛1頭当たりの泌乳量は、農場での飼育管理の改善や乳牛の改良が進むことで増加が見込 まれ、2009/10年度には、2004/05年度に比べて12%増の135万8千トン(乳固形分換算)にまで拡大する としている。 乳製品の輸出については、生乳生産の拡大に比例して増加し、2009/10年度の輸出量は、2004/05年度に 比べ11.9%増の190万6千トン、輸出額にして77億7千万NZドル(5,750億円:1NZドル=74円)を見 込んでいる。 肉牛飼養頭数は2009/10年度までに2.6%減少、牛肉生産は酪農部門からの供給に依存 ○ 牛肉部門 2004/05年のNZ産牛肉価格は、アジア地域における米国産牛肉の輸入停止により歴史的に高いレベル に達した。2005/06年度は、米国産牛肉の輸入再開などにより、価格の下落が予想されるが、今後海外で 想定される口蹄疫の発生やさらなるBSE汚染の拡大などにより、NZ産牛肉に対する国際市場からの 需要は、引き続き高まるとしている。 しかし、国内での肉牛飼養頭数は、環境規制などの影響から大きな伸びが見込めず、2009/10年度には、 2004/05年度に比べて2.6%減の433万1千頭と若干の減少を予測している。このため、牛肉生産において 酪農部門への依存度がさらに高まり、NZの年間牛肉輸出量の約60%が乳用牛の供給で賄われるとみて いる。 牛肉の輸出についてMAFでは、肉牛の飼育頭数は2009/10年度までに約11万頭の減少が予測されるが、 酪農部門から乳用牛の供給により2009/10年度の輸出量は、2004/05年度に比べ4%増の44万4千トン、輸 出額にして20億3千万NZドル(1,502億円)を見込んでいる。 ◎NZ最大手乳業フォンテラ、豪州乳業会社の買収を視野 NZの最大手乳業会社フォンテラのフェリエ最高経営責任者(CEO)は8月8日、メルボルンでの 講演で、新たに豪州乳業会社の買収を視野に入れていることを明らかにした。フォンテラは、ボンラッ ク社など豪州国内の乳業数社をすでに傘下に収めており、豪州国内の生乳生産量の約21%を処理してい る。同CEOは、豪州大手乳業のデイリー・ファーマーズ社の買収については否定的な見解を示したも のの、他の大手乳業の買収については関心を持っていることを示唆した。フォンテラは2005年、豪州の 乳業会社ナショナル・フーズの買収をめぐり、フィリピンの大手飲料企業サン・ミゲル社との間で、激 しい買収合戦を繰り広げたが、最終的に敗れている。 【シドニー駐在員 横田 徹 平成18年8月17日発】
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