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2006年の10大ニュース 《ブエノスアイレス駐在員事務所》     松本 隆志 ・ 横打 友恵


1.アルゼンチン、牛肉輸出の停止

  アルゼンチン政府は昨年から、牛肉の国内価格の上昇抑制を目的とした、国内価格引き下げ協定や輸出税
 引き上げによる輸出抑制などの政策をとってきたが、国内価格の上昇が続いたことから、3月13日に牛肉の
 輸出停止を決定した。

  牛肉輸出の停止の決定に当たり、ミチェリ経済生産大臣は「政府の意図は、基本食料の一つである牛肉の
 国内市場向け供給量を需要量に合わせることであり、今後、国内の食肉市場を日々監視した上で、採用した
 措置に対して国内価格の展開や需要動向にどのような反応が出るかを把握し、輸出の再開について判断する
 ことになる」と述べた。


2.アルゼンチン、牛肉輸出の再開

  3月に牛肉輸出が停止されて以降、政府と関係者との協議が続けられ、4月6日に国内価格引き下げのた
 めの小売り指標価格を設定した結果、牛肉の国内価格の上昇が抑制された。このため、政府は5月26日に条
 件付きで牛肉輸出の再開を認めた。

  再開以降、牛肉輸出は順調に回復する一方で、生体牛価格の低迷が続き、生産者は不満を募らせていた。
 そこで政府は生産者の要望を踏まえ、11月30日にと畜重量制限の引き下げなどを行ったが、農業者団体は12
 月3日から9日間にわたり、農業ストを実施した。


3.チリ、日本とのEPA交渉に大筋合意

  チリ外務省国際経済関係総局(DIRECON)は9月25日、日・チリ経済連携協定(EPA)が大筋で
 合意に達したことを発表した。DIRECONのフルチェ局長は「日本向け農産物輸出の53%は、協定発効
 後に関税が即時撤廃、また35%は関税割当が適用されることとなり、農業分野は本交渉の中で最も恩恵を受
 けた分野の一つと言える」と述べた。農産物輸出品目の90%が無税あるいは特恵関税によって日本市場に輸
 出されることになり、輸出量から見るとチリにとって大変成功した交渉であったと評価した。現在、署名に
 向けた作業が行われている。


4.ブラジル、鶏肉輸出の減少

  ブラジルは1999年以降、毎年約2割増のペースで鶏肉輸出量を拡大してきたが、鳥インフルエンザ発生に
 よる鶏肉輸入国における需要の減退が続いていることから、2006年の鶏肉輸出量(1〜9月、骨付きベース)
  は184.9万トンとなり、前年同期に比べかなり減少(10.8%減)する一方、輸出単価はほぼ同じであること
  から、輸出額は20.7億ドル(2,420億円、1ドル=117円)とかなり減少(前年同期比13.1%減)している。


5.アルゼンチンおよびブラジル、口蹄疫の発生

    アルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)は2月8日、コリエンテス州の農場において口蹄疫が
  発生したことを発表した。口蹄疫の発生により、発生郡およびその周辺郡の家畜やその産品に対する移動制
  限が行われた。政府は、4月3日に口蹄疫を制御したことを発表し、9月22日にOIEに対し清浄化に関す
  る報告を行っている。

    また4月20日にブラジル農務省(MAPA)は、マットグロッソドスル州ジャポラン郡の農場において口
  蹄疫が発生したことを発表した。発生農場のすべての牛(137頭)は殺処分された。昨年10月の口蹄疫の発生
  から半年経ち、州の関係者は、牛肉輸出の再開を期待し始めたところであった。


6.アルゼンチン、畜産振興計画を公表

    キルチネル大統領は7月24日、畜産の安定的成長の基盤を構築することを目的とした畜産振興計画を発表
  した。同計画は、@牛肉供給量の増加(牛肉生産量を年間306万トンから年間361万トンへ増加)A取引、情
  報および市場システムの透明性の改善、B一般経済および畜産、牛肉チェーンの枠組みの中での国内、輸出
  に向けた十分な需要の確保−の3つの骨子から成り、これらに基づき、2010年までの4年間で合計8億5,700
  万ペソ(325億6,600万円:1ペソ=38円)が資金として投入される。


7.ウルグアイ、トレーサビリティ法を公布

    ウルグアイ政府は8月2日、トレーサビリティ法(法律第17997号)を公布した。9月1日から出生したす
  べての牛を生後6カ月齢または出生農場から移動する前に個体識別登録システムに登録すること、また2010
  年4月1日から国内すべての牛を登録することとしている。さらに2010年4月1日以降、登録されていない
  牛由来の牛肉輸出は認められないとしている。


8.パラグアイ、トレーサビリティ導入などで牛肉輸出を拡大

    牛肉輸出の拡大に向け、2004年5月5日付け政令第2504号により輸出向けと畜牛の識別および原産地証明
  を保証するトレーサビリティシステム(SITRAP)が創設され、2005年8月からパイロットプランが始
  動している。2006年6月1日にはこのプランに基づき、耳標を装着した80頭の去勢牛が初めて食肉処理工場
  に搬入、チリ向け輸出用として加工処理された。現在、同プランには39農家が参加し、システムの評価を行
  っているところであると伝えられている。


9.アルゼンチン、トウモロコシの輸出登録を一時停止

    アルゼンチン政府は11月20日、2006/07年度トウモロコシに対する輸出登録の数量が前年同期を大幅に上回
  り、相手国輸入業者との契約も済んでいない輸出登録も行われているとみられることから、トウモロコシの
  輸出契約に係る詳細を輸出業者に求めるため、トウモロコシの輸出登録の一時停止などを定めた農牧水産食
  糧庁(SAGPyA)決議第775/2006号(11月17日付け)を公布した。なお、2005/06年度トウモロコシについ
  ては、これまで885万トン分の輸出登録が行われているが、同決議はこれらの輸出に影響を与えない。


10.チリ、2006年の豚肉生産量は過去最高となる見込み

    チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)は8月、2005年の食肉需要動向を発表した。これによると、生
  産量は2000年以降増加しており、2005年は120万トン(前年比5.2%増)となっており、うち豚肉について見
  ると、2005年の生産量は過去最高となる41.1万トン(前年比10.1%増、枝肉ベース)となり、輸出量は9.79
  万トン(同24.2%増、製品重量ベース)、輸出額は2.95億ドル(同25.9%増、345億円)となった。

    また、2006年の豚肉の生産量(1〜10月)は38.9万トン(前年同期比14.7%増)、輸出量は8.2万トン(同
  0.2%増)となっており、生産量は前年をかなり上回ると見込まれる。




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