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2006年の10大ニュース 《シドニー駐在員事務所》                           井田 俊二  ・ 横田 徹


1.干ばつによる農業への影響が拡大(豪州)

  豪州では、8月および9月の高温、また、1900年来という記録的な乾燥気候により干ばつ状況が進行し、農
 業への影響が拡大、深刻化している。畜産農家では、干ばつによる牧草の生育不良や水量の制約といった家畜
 飼育環境の悪化、また、飼料価格の上昇により家畜の出荷を余儀なくされている。この結果、肉牛や羊市場で
 の取引頭数が大幅に増加する一方、取引価格の下落が進んでいる。豪州連邦政府は、国内の農地の半数以上が
 干ばつの影響を受けていることから、総額9億1千万豪ドル(846億円:1豪ドル=93円)の支援を決定して
 いる。


2.豪日FTA交渉開始を発表(豪州)

  豪州連邦政府のハワード首相は12月13日、豪州と日本との間で話し合われてきた自由貿易協定(FTA)交
 渉が2007年から正式に開始することを発表した。これは、前日に行われた同首相と日本の安倍首相との電話会
 談で合意されたことによるもの。豪州と日本の両国間の貿易額は2005/06年度(7〜6月)で539億豪ドル(5
 兆127億円)に達し、豪州にとっては最大の貿易相手国となっている。ハワード首相は、日本とのFTA締結
 は、両国間の戦略的パートナーシップをさらに強化するとしている。一方で、今後のFTA交渉では、豪州側
 が牛肉、乳製品などの主要農産物を対象品目から除外できるかどうかかが大きな焦点となる。


3.フィードロット飼養頭数、収容能力記録をいずれも再更新(豪州)

  豪州フィードロット協会(ALFA)は8月23日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)との共同調査によ
 る四半期ごとの全国フィードロット飼養頭数調査結果を発表した。これによると、2006年6月末時点の総飼養
 頭数は、前回調査(2006年3月末)に比べて5%増の94万頭と、過去最高となった前回調査時の記録を再び更
 新した。また、フィードロット収容可能頭数も、前回調査比3%増の113万2千頭と、同じく過去最高となった。
 この結果、フィードロットの稼働率は、前回調査から1ポイント上昇の83%と、高水準を維持している。頭数
 拡大の背景として、日本や韓国向け輸出の好調が上げられる。また、輸出需要に併せて安定した牛肉の品質を
 求めるスーパーなどの国内需要も大きい。


4.タイおよび米国とのFTAの発効後1年目の状況(豪州)

  2005年1月に発効した豪州・米国および豪州・タイとの自由貿易協定(FTA)が、丸一年を経過した中で、
 これらのFTAの効果について、新聞各紙や豪州連邦政府などが評価を行っている。この中で、豪・米FTA
 についての新聞各紙の評価は、対米輸出額の減少など当初期待されたほどの効果が現れていないとしている。
 一方、豪・タイFTAに対する連邦政府の評価によると、FTAの効果で2005年の両国間の貿易額は前年比30
 %増加し、豪州からタイへの輸出額も同34.7%増となるなど、急成長を遂げる東南アジア市場での競争を有利
 に導いているとその成果を強調している。


5.NZフォンテラ、2005/06年度売上高は6%の増加

  ニュージーランド(NZ)生乳生産量の95%以上を取り扱う最大手乳業会社フォンテラは7月24日、2005/06
 年度(6〜5月)決算の一部を公表した。それによると、乳製品国際価格の高騰を背景に、売上高は前年度比
 6%増の130億NZドル(1兆530億円:1NZドル=81円)に達し、生産者への支払乳価は乳固形分キログラ
 ム当たり4.10NZドル(332円)と年度当初の見通しから25NZセント(20円)上昇した。2005/06年度の乳製
 品の国際市場は、豪州やEUなど主要乳製品輸出国で生乳生産が低迷したことで市場供給量が減少傾向にある
 一方、原油産出国や経済成長の著しい中国を中心に乳製品需要が高まり、需給はひっ迫傾向が続いていた。


6.干ばつで冬穀物は大幅な生産減、長期化は夏穀物生産にも影響の恐れ(豪州)

  豪州農業資源経済局(ABARE)は12月5日、2006/07の穀物収穫予測(更新版)を公表した。これによる
 と、冬穀物生産量は、干ばつの影響により前年度比62%減の1,550万トンと前年度を大幅に下回り、過去10年間
 で最低の水準になると予測している。特に主要作物である小麦は、973万9千トン(前年度比61%減)、大麦367
 万3千トン(同63%減)といずれも大幅な減産見通しとなった。また、夏穀物の生産については、干ばつの長
 期化に伴う水不足の影響で、米、綿実などを中心にいずれも減少し、全体で前年度比33%減の306万トンを見込
 んでいる。干ばつがさらに長期化すると、ソルガムなどへも影響が及ぶ恐れがあるとみている。


7.広がりをみせる1日1回(ONCE-A-DAY)搾乳(NZ)

  オセアニアの酪農生産国ニュージーランド(NZ)では、堅調な乳製品の国際市場価格を背景に生乳生産の
 拡大が期待されているが、このような中、酪農の生産現場では、従来の1日2回の搾乳から1日1回(ONCE-A
 -DAY)の搾乳へと、酪農スタイルを変化させる酪農家が現れている。現在、この搾乳方法を取り入れ始めた酪
 農家は約500戸と、NZ酪農家全体の約4%程度まで拡大してきた。酪農家にとってこの搾乳方法を取り入れる
 最大のメリットは、労働時間の大幅な短縮にある。労働時間の短縮で地域社会との結び付きが強くなるなど、
 この搾乳方式をはじめた酪農家では、生活面でも大きなゆとりが生まれている。長時間の作業が求められる酪
 農は、NZでも酪農家への負担となるばかりでなく、酪農後継者の育成にとっても大きな足かせとなっている。


8.2004/05年度の農家経営、酪農部門を除きマイナスに(豪州)

  豪州農業資源経済局(ABARE)は3月末、最新の農業経営の動向を探る農家調査「ファームサーベイ」
 を公表した。この中で2004/05年度の農家経営について、天候要因や生産コストの上昇により、酪農部門を除き
 全般的にマイナスとなったことが明らかとなった。特に肉牛や羊専業では、飼養頭数規模が小さい農家を中心
 に損失の拡大が目立っており、これらが全体の損益をマイナスに導いた要因となっている。一方、酪農部門に
 ついては、酪農地帯の天候が安定したことで一定の生乳生産量の確保が図られたことなどが寄与し、平均19,890
 豪ドル(185万円)の黒字となった。過去2カ年度の酪農経営は、2002/03年度の大規模な干ばつによる影響か
 ら抜け出せない状況にあったが、世界的な乳製品需給のひっ迫による乳価の上昇など、酪農経営を改善する環
 境が生じている。


9.DA、カルシウム不足には牛乳乳製品を(豪州)

  豪州連邦政府に属する全国保健医療研究協議会は5月3日、一日の食事の中で国民一人当たりが摂取するべ
 き栄養素の新しい摂取基準量を発表した。これによると、カルシウムの摂取基準量を約300ミリグラム増加させ、
 9歳以上は一人当たり1,000〜1,300ミリグラムと改定した。これを受け、デーリーオーストラリア(DA)で
 は、カルシウム摂取量を増加させるには、牛乳やヨーグルト、チーズなどの牛乳乳製品消費が欠かせないと訴
 えている。直近の全国栄養調査によると、実際のカルシウム摂取量については、子供や女性の半数が改定前の
 基準量より少なく、今回の改正の結果、摂取基準量と実際の摂取量の差がさらに広がる結果となり、カルシウ
 ム摂取の必要性が高まっている。


10.食肉、乳製品の中国向け輸出見通しを発表(豪州)

  豪州農業資源経済局(ABARE)は先ごろ、豪州から中国への農産物輸出見通しに関する調査結果を発表
 した。これによると、中国では、近年の高度経済成長による都市住民を中心とした個人所得の増加や、また、
 これに伴う食生活の多様化などから、食肉、乳製品などの農産物需要が大幅に増加しており、今後、一部の農
 産物については、他国からの輸入に頼らざるを得ない状況が見込まれている。このような中、豪州と中国は自
 由貿易協定(FTA)の締結を目差しており、豪州にとっては、特に乳製品や砂糖、穀物など、今後の輸出増
 加の可能性が期待できる市場としている。

 


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