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2006年も食肉生産の増加を見込む(ベトナム)


2005年の食肉生産量は12.3%の伸び

 昨年末から今年1月にかけて、ベトナムでは2005年の農林水産分野などの統計数値が公表された。同国
農業・農村開発省(MARD)によると、2005年の食肉生産は生体重量ベースで285万トンと前年を12.3
%上回ったとしている。

 その背景には、家畜飼養頭数の増加が挙げられ、推定値ではあるが、豚が2千8百万頭で前年よりも8.5
%増加したのに続き、牛が520万頭で同6%増、水牛が290万頭でほぼ前年同、ヤギと羊が130万頭で同27%
増、家きんが2億3千万羽の同5.5%の増加となった。このため、食肉だけではなく、生乳生産が18万5千
トン(2004年は15万1千トン)、卵が48億5千万個(同39億4千万個)とそれぞれ増加している。これに
は、鳥インフルエンザの発生件数が2004年に比べて減少しているものの、収益を改善するため、家きんか
ら豚や牛などへ飼養家畜を変更する者もいることも原因とされている。


2006年の食肉生産も11%の伸びを予想 
 
 また、MARDは、2006年の生産予想も公表し、食肉生産量が生体重量ベースで318万トンとなり、前年
を約11%上回る見込みであるとしている。

 この理由としては、@農業分野の中でも畜産分野への投資の増加と、畜産分野における生産性の向上、
A従前、畜産が盛んであった地域でのますますの生産振興、B鳥インフルエンザによる飼養家畜の変更−
などが見込まれるとし、この結果、2006年においても、豚の飼養頭数が2千8百万頭から2千950万頭に、
牛が520万頭から570万頭に増加するとしている。


生産増の背景には経済の順調な発展

 このように順調に生産が伸びている背景には、同国経済の発展が食肉消費の増加をリードしていること
が挙げられる。同国の食肉消費構造は自給的性格が強く、生産された食肉のほとんどは国内で消費される
ため、ほぼ生産と消費がリンクして推移していると見られている。昨年末に同国統計事務所(GSO)が
発表した2005年のGDPの伸びは8.4%となっており、2003年の7.4%、2004年の7.7%に比べても高い伸
びとなっている。


相対的に低下する農林水産業の地位

 また、GDPに占める農林水産部門の割合を見ると、90年代初めには40%前後であったものが2005年に
は21%とほぼ半減している。一方、工業や建設部門ではその逆に90年代初めには20数%であったものが、
2005年には41%とほぼ倍になっている。2005年のサービス部門の割合は40%をやや下回り、ほぼ90年代初
めの水準となっている。

 なお、94年の価格をベースに農林水産分野の生産額の伸び率を見ると、2004年に173兆6千万ドン(1兆
2,721億円:1円=136ドン)が2005年には182兆ドン(1兆3,832億円)と4.9%の伸びとなっている。畜
産物を含めた農産物は、生産額の約8割を占める米やトウモロコシの穀物などが1.3%と低い伸びになっ
ているため、3.2%と低い伸びになっているが、畜産だけを見れば、11.6%の高い伸びとなっている。林
産分野は1.2%の伸びと振るわない一方で、輸出仕向けのエビ養殖などが盛んとなっている水産分野の伸
びは12.1%の高い伸びとなっている。

 同国政府は、畜産物を、米、コーヒーそしてコショウなどの輸出産品の一角に加えたいとしている。特
に主要畜産の養豚に関しては、海外からの投資も増加しつつあり、外国種の導入の増加なども生産の増加
につながっているが、輸出振興の観点からは、豚肉の国内需要を満足させるとともに生産コストや衛生問
題などの改善が課題となっている。


【シンガポール駐在員 斎藤 孝宏 平成18年2月2日発】



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