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2005/06年度の冬穀物生産、過去2番目の豊作(豪州)


05/06年度の冬穀物生産量、4,063万トン

 豪州農業資源経済局(ABARE)は2月14日、四半期ごとに発表している最新の穀物生産予測を発表
した。

 これによると、2005/06年度の冬穀物の生産量は、気象条件に恵まれたため、前年度比15%増の4,063万
トンと、過去2番目の記録となるとみている。過去最高は、2003/04年度の4,340万トンであった。

 また、2005/06年度の夏穀物の生産量についても、同様な理由から、前年度に比べ21%増の480万トンと
予測している。この報告書の概要は以下のとおりとなっている。


冬穀物生産量は、小麦、大麦増、カノーラ減

 2005/06年度の冬穀物生産量が前年度に比べ大幅に増加した要因について、ABAREでは、「シーズン
前半は東部州や南オーストラリア(SA)州で不安定な気候が続いたが、その後、大部分の生産地で作物
の生育に十分な降雨量があったことや生育に適した気温が続いたことから、豊作となった」と述べている。

 品目別に見ると、小麦は前年度比11%増の2,509万トン、大麦は同28%増の987万トンと大幅に増加した
のに対し、カノーラは播種時の乾燥気候が災いし、同6%減の141万トンとなった。



 州別にみると、小麦や大麦の生産量は、生産可能な州すべて(北部準州が除かれる)で増加したが、カ
ノーラの生産量については、西オーストラリア(WA)州では増加したものの、ニューサウスウェールズ
(NSW)やビクトリア(VIC)州などで減少した。


夏穀物生産量は、ソルガム、米増、綿実減

 2005/06年度の夏穀物の生産量増加予測の要因については、ABAREでは、2005年10〜11月にかけて、
クイーンズランド(QLD)州やNSW州の生産地に平均を超える降雨量(過去五年の平均)があったた
めとしている。

 品目別にみると、ソルガムの作付面積は前年度比11%増の89万ヘクタールと大幅に増加し、生産量も同
6%増の231万トンと予測している。また、米についても、播種時に平均を超える雨量があったことやか
んがい用水が十分にあったことから作付面積が前年度に比べ2倍以上の約11万ヘクタールとなり、生産量
は100万トンに達すると見られている。

 一方、綿実については、作付面積は前年度比4%増の82万ヘクタールとなったものの、生産量は、QL
D州の産地でのかんがい用水不足が影響し、同10%減の82万トンにとどまると予測している。



 ABAREでは、夏穀物の生産予測について、現時点で上記のような見通しを立てているが、2005年12
月から2006年1月にかけて乾燥した気候が続いたことから、最終的な生産量は「今後の数カ月間の天候し
だい」と述べている。気象局の向こう3カ月間(2〜4月)の気象予測によると、平均的な降雨量となる
確率は50%、平均的な気温で推移する確率も50%となっている。


飼料用穀物価格は低下傾向

 豪州フィードロット協会(ALFA)によると、2005年12月のソルガムの価格は前年同期比13%減の157
豪ドル/トン(13,973円:1豪ドル=89円)、飼料用小麦価格は同7%減の170豪ドル/トン(15,130円)と、
穀物生産量の増加を反映して、いずれも低下してきている。



【シドニー駐在員 井上 敦司 平成18年2月15日発】



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