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米国、韓国とのFTA交渉を開始


韓国の農産物総輸入額の4分の1が米国産

 ポートマン米国通商代表部(USTR)代表は2月2日、キム韓国外交通商大臣とともに、関税および非
関税障壁を撤廃し、両国間における貿易の拡張を図るため、自由貿易協定(FTA)交渉を開始すると公表
した。当該交渉は、今後90日間の諮問期間を経て、本年5月より本格的に開始されることとなる。

 韓国は過去10年間にわたり、アジア諸国における財政危機などにもかかわらず、年平均4.9%の実質GD
P成長率と、同12.5%の実質貿易成長率を維持してきた。米国の韓国向け主要輸出品目は、農産物をはじめ
航空機、機械類など、一方、輸入品目は、車、電気通信設備などで、2005年の両国における貿易総額は、約
720億ドル(8兆5,680億円:1ドル=119円)に上ると見込まれている。

 韓国における2004年の農産物総輸入額は、106億ドル(1兆2,614億円)で、そのうちの約4分の1を米国
が占めている。

 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)による2004年の米国からの主要畜産物の韓国向け輸出額をみ
ると、豚肉が4,700万ドル(55億9,300万円)、鶏肉が2,600万ドル(30億9,400万円)、牛乳乳製品が4,300万
ドル(51億1,700万円)となっている。なお、牛肉については、2003年12月、BSEの発生が確認されたこ
とから輸出が停止したものの、2003年では7億4,900万ドル(891億円)の牛肉製品が輸出されていた。なお、
米韓間では本年1月、30カ月齢以下の牛由来の骨なし牛肉の輸入条件について合意されている。

 同代表は、「今次交渉は、ここ15年間で米国が着手した中で、商業上最も重要な自由貿易交渉となる。現
在、韓国は、世界で10番目に大きな経済国であり、米国にとっては7番目に大きな輸出市場であるとともに、
同国は、最も市場開放の可能性、民主主義および経済改革を象徴する国でもある。FTAにより両国間の貿
易および投資障壁を撤廃することは、拡大を続ける韓国経済への米国の農業者、牧場主、労働者および産業
界のための市場アクセスの増大につながる。」などとし、今後の交渉へ向けた意欲を示した。


タイ、SACUなどともFTA交渉が継続中
 
 一方、ブッシュ米大統領は同日、「韓国と米国は強固な連携を有し、アジア諸国ならびに世界中を通じた
自由、平和、そして繁栄の拡大という共通の価値観により結束している。今回、包括的なFTAを協議する
ことにより、両国の関係はさらに深まり、双方に対し重要な経済的、政治的、戦略的な恩恵を提供するとと
もに、アジアにおける米国の関与をさらに強化する」との声明を公表した。

 同政権下ではこれまで、ヨルダン、チリ、シンガポール、豪州およびモロッコとのFTAが発効し、また、
コスタリカ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、バーレーン、オ
マーン、ペルーとの合意が成立している。さらに、今回の韓国を含め、パナマ、コロンビア、エクアドル、
タイ、南部アフリカ関税同盟(SACU)の5カ国、アラブ首長国連邦の11カ国との交渉が継続中である。


米国畜産団体、米韓FTA交渉開始を賞賛

 当該公表を受け、米国の畜産団体は同日、一様に韓国とのFTA交渉開始を賞賛する声明を公表した。

 全国豚肉生産者協議会(NPPC)は、米国の豚肉産業にとって6番目に大きな輸出市場である韓国向
け豚肉輸出は、95年のWTOウルグアイラウンド貿易協定の履行以来492%増加したものの、豚肉が1日当
たりの食肉たんぱく質消費量の44%を構成する韓国市場にはまだ多くの拡大の余地があるとしている。し
かし、米国の豚肉産業にとって主要な競争国であるチリが近年、活発にアジア諸国とのFTAに調印した
ことから、ブールNPPC会長は、「韓国は、米国の豚肉生産者のための重要な輸出市場であるものの、さ
らなる拡大は、チリ産豚肉の輸入増のため危険にさらされている。韓国とのFTAの獲得こそ、米国の生産
者にとって緊急の課題である」と述べた。

 また、マックアダムス全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)会長は、米国にとって3番目に大きな牛肉
輸出市場であった同国とのFTA交渉の開始を支持するとともに、米国産牛肉に対する完全な市場の再開、
同国の関税の大幅な縮小および衛生植物検疫(SPS)問題の解決を期待するとした。

 一方、全国生乳生産者連盟(NMPF)と米国乳製品輸出協会(USDEC)は、同通商代表へ、韓国は、
米国の酪農産業にとって戦略上重要な国の一つであり、今回の合意を支持する内容の書簡を送付した。スー
バーUSDEC会長は、「今後、韓国は、米国産乳製品輸出、特にチーズ輸出にとって魅力的な成長の可能
性を提供するだろう」と述べた。

【ワシントン駐在員 唐澤 哲也 平成18年2月15日発】



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