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ブラジルの食肉部門、2005年の輸出額を大きく伸ばす


農林水産部門の輸出額、前年を11.8%上回る

 ブラジル農務省(MAPA)農業ビジネス国際関係局(SRI)は1月5日、「2005年における農業ビ
ジネス関連の輸出総額は436億ドルで、新記録を達成した」とする農林水産部門に係る貿易収支(速報)
を公表した。

 これによると2005年の輸出額は前年の390億1,570万ドル(4兆6,429億円:1ドル=119円)を11.8%上
回る436億93万ドル(5兆1,885億円)、輸入額は前年の48億8,077万ドル(5,808億円)を6.2%上回る51
億8,390万ドル(6,169億円)、貿易収支は384億1,704万ドル(4兆5,716億円)となり、輸出額および貿
易黒字とも過去最高になった。

 一方、ブラジル全体の輸出額1,183億900万ドル(14兆788億円)に占める農林水産部門の輸出額は36.9
%となり、前年の40.4%からわずかに下がった。



食肉部門の輸出額、前年比31%と大幅増加

 輸出額が大きく伸びた部門は、食肉(前年比31%増)、砂糖・アルコール(同49%増)、コーヒー(同
42%増)、紙・セルロース(同17%増)の各部門であったが、大豆およびその加工品は、輸出価格の低下
により輸出額が減少(同6%減)した。

 食肉部門(加工品含む)は前年61億4,784万ドル(7,316億円)を31.2%上回る80億6,556万ドル(9,598
億円)となった。これは輸出量が前年比で15.5%増加しかつ生鮮品の輸出価格が上昇(牛肉が前年比5%、
鶏肉が同17%、豚肉が同23%)したことによる。

食肉別に見た場合、

・生鮮牛肉の輸出額は、前年の19億6,307万ドル(2,336億円)から23.2%増の24億1,910万ドル(2,879億円)
・生鮮鶏肉は、同24億9,393万ドル(2,968億円)から33.3%増の33億2,421万ドル(3,956億円)
・生鮮豚肉は、同7億4,428万ドル(886億円)から50.9%増の11億2,315万ドル(1,337億円)

−となっている。
 
 なお2005年10月にマットグロッソドスル州で発生した口蹄疫のため、多くの海外市場は牛肉などに輸入
制限を設けたが、第4四半期における生鮮牛肉の輸出額は前年同期比で6.6%減であった。これは輸出量が
18.2%減少した一方、輸出価格が14.2%上昇したため、大きなダメージには至らなかったようである。し
かし2006年はどのように推移するのか注目される。

 なお、2004年、2005年とも輸出額の1位は大豆およびその加工品、2位は食肉であるが、その差は前年
が39億5万ドル(4,641億円)、2005年が14億1,117万ドル(1,679億円)となっており、かなり差が縮まっ
た感がある。



◎チリ、メルコスルからの牛肉輸入関税を削減

 チリがメルコスル4カ国から牛肉を輸入する場合、2006年1月から現行6%の関税が4.98%になる。

 これはチリが1996年にメルコスルに準加盟した際に結ばれた協定に従った措置で、下表のとおりチリは
牛肉をセンシティブ品目として扱い、10年間は関税削減の対象とはならず、11年目に当たる2006年から段
階的に関税が削減され、2011年に無税となる。

 ちなみにチリはこれ以前、メルコスル各国に関税割当枠(アルゼンチンは関税削減率30%枠を3,000トン
もっている。以下同様にウルグアイは50%減で3,000トン、パラグアイが75%減で7,000トン、ブラジルが
30%減で2,000トン)を与えていたが、アルゼンチンとブラジルは2006年まで、ウルグアイが2007年まで、
パラグアイが2009年までの措置となっている。

 なおチリでは「(この措置によって)チリの牛肉輸入は増えるであろうが、輸出も増えるであろう」と
予測されており、南米で唯一の“口蹄疫ワクチン不接種清浄国”の国際ステータスを生かして、周辺国か
ら安価な牛肉を輸入し、衛生条件の厳しい市場へ自国産牛肉を高値で輸出する方向性が垣間見られる。

 チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によれば、牛肉輸出は96年9トンだったものが5年後の2001
年には68トン、その後急増し、2002年3,524トン、2003年6,443トン、2004年には9,021トン、2005年(速報)
18,749トンとなっており、牛肉主要生産国におけるBSEの発生が急伸の背景にあるものの、近年倍増し
ている様子がうかがえる。




【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 平成18年1月18日発】 

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