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2カ月以上にわたりAI発生の報告なし 1月中旬現在、タイにおいて、鳥インフルエンザ(AI)の発生は昨年11月初旬の国際獣疫事務局(O IE)への発生報告が最後となっている。同国では、2004年1月末にAIの発生が確認され、その後も波 状的に発生し、直近では7月に発生したものを第三波としていた。 また、人への感染に関しても、世界保健機関(WHO)によれば、2005年には5人の感染者が認められ、 そのうち4人が死亡し、2004年以降の累計死亡者数では14人となっており、昨年12月上旬にバンコク市東 部のナコンナヨーク県の5歳の男子の死亡が現在のところ最終となっている。 政府は、AI発生が確認された県を感染地域と指定し、監視体制を敷き、21日間警戒地域として監視後、 再発がなければ指定を解除してきた。12月1日に中部のノンタブリ県の指定解除を最後に現在まで新規の 発生は報告されていない。 AI清浄化対策3年計画を開始 同国農業協同組合省はこれまでのAI対策を総括した形で「AI清浄化3年ロードマップ」を策定した。 ロードマップの概要は政府のホームページでも公開されている。 それによると、計画の期間は、2006年度(2005年10月から)から2008年度までの3年間とし、目標は、 2006年のAI発生を25カ所以下に抑え、2007年にはそれを10カ所以下とし、2008年にはゼロにするとして いる。 このため、次の措置を執るとしている @家きん飼養形態の改善 コンパートメントシステムの整備を進め、家きんと豚との混飼を禁止し、庭先養鶏や闘鶏、そして放し 飼いのアヒルなどが野鳥などとの接触を回避するなど、飼養形態を改善する。 A監視体制の整備と防疫管理 全国を5地域に分け、幹線道路にチェックポイントを設けて家きんの移動を監視し、また、家きんの移 動前にはAIの検査を実施する。村落単位の疾病発生に関する監視連絡網を整備する。月に2度の飼育 舎の消毒と、年2回の全国一斉検査の実施(原則として、気候の変わり目の5月と10月を予定)する。 処理場および家きん肉販売現場の消毒などを行う。 B研究と人材育成 AIウイルスの型と性質の研究を進め、各種動物への感染の有無やワクチンの開発、検査および消毒方 法の改善ならびに衛生関係者の教育の拡充などを図る。 CAIに関する知識の普及など 農家を組織化して共同でAIに対する防疫意識を向上させるとともに、マスコミを通じて国民に衛生意 識の普及を図り、国連食糧農業機関(FAO)やOIEなど国際機関との連携体制を強化する。 冷凍鶏肉輸出再開への期待 政府は11月中旬の閣議で、AIの防疫対策としてワクチンの全面的な使用は実施しないとの決定を行っ た。その理由は、外国での使用例において、期待された結果が得られていないことや費用が多大になるた めなどとしている。 なお、農業協同組合相は、ロードマップが計画通りの成果を上げれば、冷凍鶏肉の輸出再開も可能性が あると期待を述べている。 現在、同国の冷凍鶏肉の輸出は実質的にゼロとなっており、鶏肉加熱調製品の輸出が増加しているが、 2005年の鶏肉製品全般の輸出額はAI発生以前である2003年の3分の2にとどまる見込みとなっている。【シンガポール駐在員 斎藤 孝宏 平成18年1月19日発】
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