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米農務長官、公正な貿易機会の必要性を強調


米農務長官、2006年の課題を講演

 ジョハンズ米農務長官は1月9日、テネシー州のナッシュビルで開催された全米最大の農業者団体
であるファームビューロー(AFBF)の年次総会において、2007年農業法や貿易問題など米国農務
省(USDA)が2006年に取り組むべき課題などについて講演を行った。概要は以下のとおり。


貿易問題が農業政策の最重要課題

 USDAは2005年、今後の農業政策などの展望をとらえるため、新農業法に関する草の根段階での
フォーラムを開催した。当フォーラムは昨年、全国52カ所で開催され、私自身もそのうち22カ所に参
加し、農業者や牧場主から直接意見を聞く機会を得た。USDAでは現在、それら意見の取りまとめ
を進めているところである。

 当フォーラムでは、農家に対する価格支持制度に加え、新たな市場開発および公正な貿易に関する
多くの意見が出され、生産者は、世界中の生産者と競争する機会は、同等でなければならないと繰り
返し述べた。

 USDAでは、2006年における農産物輸出額について対2000年比25%増の645億ドル(7兆6,755億
円:1ドル=119円)と、歴史的にみても3番目の年になると見込んでいる。米国内の農家現金収入の
27%は、輸出市場から産出されており、貿易問題は、農業政策においてわれわれが熟慮しなければな
らない最重要課題である。

 私自身、生産者に対し公正な機会を提供することを望んでおり、また、ブッシュ米大統領も、同様
な機会を提供するであろう。同大統領は昨年、国際舞台において、米・中米自由貿易協定(CAFT
A−DR)締結を熱心に推進しており、当該協定の発効により、米国の農産物輸出額は年間約15億ド
ル(1,785億円)の増加が見込まれている。

 生産者の要求は、補助金の交付ではなく、われわれが彼らの重要性を尊重し、また、調査研究や、
新たな市場を開発する際、農産物および公衆衛生の強化に関する事項の重要性を考慮することである。
2006年も引き続き新農業法に関する議論を積極的に推進していきたい。


市場アクセス拡大の推進

 ポートマン米通商代表とは、昨年12月のWTO香港閣僚会議の準備のため、ロンドンおよびジュネ
ーブで多くの時間を共にした。われわれは、本会議で一定の合意に至ることを予期してはいなかった
ものの、すべての国および地域は、2013年までに貿易わい曲的な輸出補助金の撤廃に合意した。本件
は、最終的な輸出補助金の撤廃期限が示されたことに意義がある一方、私は最も厳しい作業はこれか
ら先にあると信じている。輸出補助金の大部分はEUにおいて生じているものの、EUは米国が昨年
10月に提案した野心にいまだ応じていない。

 私は今後、EUをはじめ貿易相手国がわれわれの野心に対応するよう要求し続けることを保証する。
市場アクセスの拡大、また、2006年末までの今次ラウンドの最終合意に向け積極的に取り組んでいき
たい。

 また、本会議中には、各貿易相手国と双方の貿易問題や米国産牛肉に対する市場再開について議論
する機会を得た。周知のとおり日本は昨年12月、米国産牛肉の輸入を再開した。年間牛肉輸出額が14
億ドル(1,666億円)と、米国にとって最大の牛肉輸出市場であった2003年の水準へ回復するまでに
はまだ時間を要するものの、われわれは今後に向けた途中段階にある。また、同月末、同輸入を再開
した香港も2003年では米国にとって5番目に大きな市場であり、重要な市場の一つである。現在、米
国の牛肉総輸出額は、2003年水準の約75%にまで回復しており、今後も、科学的知見や国際的にも認
められた基準に基づく、世界的な牛肉貿易の正常化を推進していく。

 さらに、農業分野における直近の問題として、肥料価格へも影響を及ぼすエネルギーコストの高騰
と鳥インフルエンザ対策の強化が挙げられる。USDAは、鳥インフルエンザ発生国における管理お
よび米国内において発生した場合の適切な対応のため対策を強化していく。


◎韓国と牛肉貿易再開の条件案に合意

 ジョハンズ米農務長官とポートマン米通商代表は1月13日、韓国向け米国産牛肉の輸出再開の重要
なステップとなる輸入条件について、米国と韓国の間で合意に至ったとする声明を公表した。当該合
意は、30カ月齢以下の牛由来の骨なし牛肉について牛肉輸出証明プログラムの下での輸出を可能とす
るとしている。



【ワシントン駐在員 唐澤 哲也 平成18年1月18日発】



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