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暑熱に対する家畜飼養の留意点などを公表(イギリス)


 イギリス環境・食糧・地域開発省(DEFRA)は7月18日、本格的な夏の到来を迎え、夏の暑さに対する
さまざまな留意点を公表し、注意喚起を行った。イギリスの本年6月の平均気温は過去30年間で最も高く、7
月もこの傾向が続くと予想されている。このような状況の中、同省は人間の体調管理をはじめ、水の有効使用、
大気保全、火災予防、自然環境保護などに関する留意点と併せて、ペットや家畜の飼養および輸送に関する留
意点についても指摘している。


ペット飼養に関する留意点 

 DEFRAは、気温上昇時の猫や犬などを伴う旅行の際の留意点をまとめた冊子を作成しており、この中で、
暑熱による問題の回避方法や、問題の兆候の発見方法などがまとめられている。基本的な対策として以下を挙
げている。

・特に、日差しが強い、または高温の際には、ペットを車中に放置しないこと
・日陰や水に自由にアクセスできるようにすること
・強い日差しにさらさないこと
・犬の散歩は比較的涼しい時間に行うこと


家畜飼養に関する留意点

  家畜の飼養の際には、動物福祉に関するさまざまな法令の順守や動物福祉規約の参照が求められるが、この
観点から、暑熱による家畜のストレスを軽減するための対策を講じる必要がある。基本的な対策は、日陰や水
への自由なアクセスを保証することである。また、飼養者は、問題の早期発見と必要な処置を講じることがで
きるように、適切な監視を行うことが義務付けられている。

 なお、DEFRAは、家きんおよびヒツジについて、それぞれの暑熱による問題の回避方法や、問題の兆候
の発見方法などをまとめた冊子を作成している。


家畜輸送に関する留意点
 
  DEFRAは7月1日付けで、輸送に関する動物福祉の法律の順守を徹底させるため、家畜の輸送者に対し
家畜の輸送時の暑熱による問題を回避するための留意点を公表している。
 
  この中では、特に、輸送車両内の温度と湿度管理が重要であるとして、換気の必要性について強調しており、
十分な換気が期待できない場合には強制換気装置を導入することも提言している。また、そのほかの点として
は以下の留意点を挙げている。

・気温の高い時間の輸送を避け、夜間などの比較的涼しい時間に移動すること
・駐車する際には、日陰の風通しの良い場所を選ぶこと
・体温を測るなど、ストレスを感じていないか頻繁に監視すること
・家畜の上部の空間を通常より広くすること
・おりに入れた家畜を、運転席の真後ろや貨物室の上部など気温の上昇する場所に置かないこと
・1頭当たりの占有面積を通常より最低30%拡大すること
・水や電解質の供給回数を通常より増やすこと
・豚の場合、体を冷やすための冷水シャワーの導入を検討すること



【ブリュッセル駐在員 和田 剛 平成18年7月19日発】


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