ALIC/WEEKLY
AIに対するベトナムの取り組み ベトナムでは、2004年1月に鳥インフルエンザ(AI)発生が確認された後、家きんの殺処分とともに国 内全土の家きんに対するワクチン接種が実施された。今年度もワクチン接種は継続して実施される予定であ り、今年に入ってから現在まで、AIの発生は報告されておらず、同国農業農村開発省(MARD)による 大規模なワクチン接種および生産者などに対する広報活動が功を奏した結果となっている。 このようなベトナム政府によるAIの封じ込めに対しては、世界保健機関(WHO)などから評価されて おり、5月4日から6日にかけてベトナムのダナン市で開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)の鳥 インフルエンザ閣僚会合において、その対応などが紹介された。 APEC閣僚会合でAI対策を協議 本会合は、APEC加盟21カ国地域および関係機関担当者の出席により開催された。本来、APECの 会合は経済問題を中心に議論を行うが、AI対策の閣僚会合が開催されるということは、AIの発生が地域 経済に与える影響の大きさを物語っていると言える。 会合では、ベトナムにおける経験を基にAI対策が協議され、各国による情報交換の重要性が強調される とともに、AI発生に伴う経済的、社会的ダメージを緩和するためには官民一体となった協力体制が必要と の認識が示された。 また、省庁間の協力調整、情報の共有、農業と貿易に対する影響の緩和、地域および国際協力などに関 する項目を盛り込んだAIの世界的な流行防止のための行動計画が採択された。 議長声明でAI対策を奨励 また、6月1日から2日にかけて、APEC貿易担当相会合が、関係国地域の貿易担当閣僚および世界 貿易機関(WTO)、APECビジネス諮問委員会(ABAC)などの担当者の出席によりホーチミン市で 開催された。 本会合は、ベトナム貿易省大臣が議長を務め、WTOドーハラウンドの早期妥結に向けた取り組みなどに ついて協議が行われ、会議終了後には、多角的貿易体制の強化、貿易と投資の自由化および円滑化などを盛 り込んだ議長声明が公表された。この中で、先に行われたAPEC鳥インフルエンザ閣僚会合の結果を歓迎 するとともに、関係国地域に対しては、採択された行動計画を実行してAIの流行による影響を和らげる ための努力をすることが奨励された。 【シンガポール駐在員 林 義隆 平成18年6月7日発】
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