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インドネシアで増える人への感染 世界保健機関(WHO)は5月8日時点での高病原性鳥インフルエンザ(AI)の人への感染状況について、 2003年以降、合計で死亡者数が115名、感染者数が207名(感染者数には死亡者数を含む。以下同じ。)に上った と公表した。 ASEAN地域では、死亡者数および感染者が世界全体の約8割を占めており、ベトナムでの死亡者数が42名 (感染者93名)で最も多く、以下、インドネシアが25名(同33名)、タイが14名(同22名)、カンボジアが6名 (同6名)となっている。 今年に入ってからの状況は、大規模な被害が発生したベトナムとタイについては死亡および感染事例は報告さ れていないが、インドネシアでは14名の死亡(感染者16名)が確認されるなど、同国の被害は拡大傾向が続いて いる。 インドネシアにおける対応状況 インドネシア政府は、5月から6月にかけて小規模な養鶏場や庭先で飼われている家きんを対象としてワクチ ン接種を予定していた。計画では約6億ドースのワクチンが必要とされていたが、予算不足により購入できるの は1億2千万ドースにとどまるため、計画の見直しが必要であるとされており、ワクチン接種に限ってみても、 AIの感染拡大防止体制が十分とはいえない状態である。 今般、インドネシア政府は独自予算による関連職員への研修と、日本政府からの *貧困農民支援に係る見返り 資金を活用して行う「迅速診断キットを用いた鳥インフルエンザ疫学調査能力の強化計画」を組み合わせること により、鳥への感染を確認できるサーベイランス体制の早期の構築を目指すとしている。2006年における同資金 の使用計画は総額約73億ルピア(約9千3百万円、100ルピア=1.28円)で、うち16億ルピア(約2千万円)が AI対策に係る予算額となっている。 日本政府からの援助への期待 また、日本政府はASEANに対するAI対策支援として、備蓄用抗インフルエンザウィルス薬(タミフル) 50万人分と防護用品(防護マスク、消毒液、検査キットなど)70万人分を供与することとし、5月2日(火)に ジャカルタにおいて、藪中外務審議官からオンケンヨン(Ong Keng Yong)ASEAN事務総長に対する引き 渡し式が行われた。 本件は、昨年12月に開催された日ASEAN首脳会議で、小泉首相がASEAN統合を支援するために表明 した75億円の拠出金を活用して行われ、本年3月に設立された日ASEAN統合基金(JAIF)の事業として 実施される。 抗インフルエンザウィルス薬などの備蓄はシンガポールで行われ、今後数カ月かけて全量がそろえられる予 定となっており、この備蓄により、インドネシアおよび他のASEAN域内におけるAIへの迅速な対応が期待 される。 (注)貧困農民支援に係る見返り資金 日本政府は、食料援助、貧困農民支援などにより被援助国が食糧や資機材を調達するのに必要な外貨(円) を供与し、これにより被援助国側に生じた余剰内貨を「見返り資金」として積み立てることを義務付けてい る。この資金は、被援助国と日本政府との協議を経た上で活用することを規定している。【シンガポール駐在員 林 義隆 平成18年5月10日発】
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