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欧州議会、食品へのビタミン、ミネラルの添加に関する規則を承認


欧州議会での承認により最終決定へ

 欧州議会は5月16日、食品へのビタミン、ミネラルなどの添加に関するEUとして統一した規則を承認し
た。この規則は、食品に添加できるビタミン、ミネラルなどのリストを作るとともに、科学的な見地からビ
タミン、ミネラルなどの食品に添加する場合の最低・最高値を設定するための基準を規定するものである。
最高値は、その栄養素が食品に添加できる最大量を、最低値は、食品にその栄養素として表示するための最
低の値を指している。

  EUでは、案件の対象分野により、欧州議会での共同決定手続(co-decision procedure)が必要となっ
ており、消費者保護に関する案件はこの手続きに該当する。この場合、欧州議会において可決された案件を、
最終決定を行う閣僚理事会で採択できることとなっている。今回の承認により、閣僚理事会で最終決定が行
われることとなる。



加盟国の規則の違いにより、流通が規制

 現在、ビタミンやミネラルなどはさまざまな理由で食品に添加されている。例えば、マーガリンには、バ
ターに含まれるビタミンに相当するように、ビタミンAやDが添加されたり、果実ジュースにカルシウムが
添加されたりしている。50年代の主な鉄分の摂取源であった肉に替わり、現在のイギリスの若者は、鉄分を
多く含んだシリアルが主な鉄分の摂取源となっている。これら添加された食品は、栄養を摂取する上で非常
に大きな貢献をしている。しかし、このようなビタミンやミネラルなどは、摂り過ぎた場合、リスクともな
る。例えば、妊婦がビタミンAを摂り過ぎた場合、胎児に先天性欠損のリスクが増えることにもなる。

  このような状況の中、現在のEUでは、ビタミン、ミネラルなどの添加に関する規則は加盟国により異な
っており、このことが商品の自由な流通の障害となっているとともに、これが消費者に対して明確に説明さ
れていない。



使用可能なビタミン、ミネラルなどをリストに掲載

  今回の規則案では、同規則のリストに規定されたビタミン、ミネラルなどのみが食品への添加が認められ
る。リストにないビタミン、ミネラルなどの流通は、7年間の移行期間が認められ、また、本規則の施行時
にEUで流通するこれらが添加された食品は、施行後3年以内に、欧州委員会にこれらの使用を証するため
の文書を提出しなければならない。提出された書類は、欧州食品安全機関(EFSA)で評価されることに
なる。
 
  また、同規則案では、食品へ添加する栄養素について、それぞれに最高・最低値を設定するための基準を
規定しているが、これは、EFSAでの科学的な評価に基づき設定されることとしている。欧州委員会は、
近日中に、検討した値を発表する予定としており、本規則が適用されてから2年以内には、フードチェーン
・家畜衛生常設委員会での承認を目指すこととしている。

 
 
欧州議会、健康・栄養成分表示に関する規則も承認

  欧州議会は同日、食品の健康・栄養成分表示の使用に関する規則も承認した。この規則では、「低脂肪(low 
fat)」、「高食物繊維(high fibre)」、「減糖(reduced sugar)」などの栄養成分表示の使用のための厳
しい条件を規定したものである。栄養成分表示は、例えば、「低脂肪」という表示を使用するためには、食
品100グラム当たりの脂肪が3グラムまたは同100ミリリットル当たりの脂肪が1.5グラム以下であること、
「高食物繊維」という表示では、同100グラム当たり食物繊維が少なくとも6グラム含まれることと規定し
ている。これにより消費者は、食品のラベルなどに関する情報を正確なものとして信頼することができるこ
とになる。
 
  健康表示は、「カルシウムは骨に良い」など使用されている表示のリストを作成するものである。加盟国
は、各国レベルですでに使用されている表示を提出し、本規則の適用後3年以内に、欧州委員会がこれらの
リストを作成することとしている。いずれの表示についても、EFSAによる評価が行われることとなって
いる。


【ブリュッセル駐在員 山ア 良人 平成18年5月17日発】


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