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ブラジル、RS州における自家増殖GM大豆の作付け許可を延長


自家増殖GM大豆の作付け許可を延長

  ブラジル政府は、大統領令5891号(2005年9月12日付け)により、リオグランデドスル(RS)州におけ
る大豆生産について、以下のことを発表した。

 @ 自家増殖した除草剤耐性を持つ遺伝子組み換え(GM)大豆(以下「自家増殖GM大豆」)と証明書付
    きの正規流通GM大豆(以下「証明大豆」)との交換

 A 自家増殖GM大豆の2006/07年度の作付けへの利用許可

  ブラジルでは、新バイオ安全法(2005年3月24日付け法第11105号、同月28日公布)が制定され、国家バイ
オ安全技術委員会(CTNBio)がGM作物について肯定的な技術的見解を出し、ブラジル農務省(MA
PA)などが所要の手続きを取ればGM作物の栽培や販売が可能となっている。よってGM大豆の場合、証
明大豆であれば、本法に基づき公的融資を受け、農業保険に加入することが可能となるが、アルゼンチンか
ら流入してきた非正規大豆由来の自家増殖GM大豆を作付けする大豆生産者は、公的支援が受けられない恐
れがあった。

  同大統領令により、自家増殖GM大豆の作付け許可が延長(昨年度については海外駐在員情報690号(2005
年9月)を参照)されることとなったが、ゲデス農相は「RS州で証明大豆が不足する恐れがあることから、
2006/07年度作付けに自家増殖GM大豆を使用することを認めたが、これ以上の延長はない」と述べている。


自家増殖GM大豆と証明大豆との交換を促進

  さらにMAPAと国家食糧供給公社(CONAB)は9月19日、自家増殖GM大豆を証明大豆に交換する
仕組みを発表した。

  これによると、CONABは、入札を9月29日に行うことにより証明大豆8万トン程度を入手した後、自
家増殖GM大豆と証明大豆の交換を11月10日までに終わらせるとしており、また、入札のために6,000万レ
アルを準備したとしている。

 さらにMAPAは9月22日、近隣国から非正規大豆が不正に輸入され、証明大豆と交換されたり、作付け
されることがないよう、大豆倉庫、大豆種子生産者、州境などを監視することを発表した。


証明大豆の作付けを期待

  ブラジル政府は、RS州農業労働者連盟(FETAG)などと会合を開き、自家増殖GM大豆を作付けす
る大豆生産者への対応を検討してきたが、2006/07年度のRS州の大豆作付予定面積約400万ヘクタールのう
ち、証明大豆は3分の2をカバーする量しか準備されていないと見込まれることなどから、自家増殖GM大
豆の作付け許可の延長に踏み切ったとみられる。しかしながら、自家増殖GM大豆と証明大豆の交換を進め
ることにより、自家増殖GM大豆が回収され、証明大豆の作付けが拡大することを期待している。

  なお、CONABが受け取る自家増殖GM大豆の取り扱いは不明であるが、輸出用や加工用に販売される
ものとみられている。



【ブエノスアイレス駐在員 松本 隆志 平成18年9月27日発】 


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