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2005/06年度の肉牛農家経営、収益減の見込み(豪州)


現金収益は前年度半分以下の水準に、飼養頭数は増加

  豪州農業資源経済局(ABARE)は10月3日、牛肉生産の動向と密接に関連する2005/06年度(7〜6月)
の肉牛生産農家の経営状況を発表した。

  これによると、300頭以上の肉牛を飼養する肉牛生産農家の経営状況について現金収入から現金支出を除いた
現金収益で見ると、前年度の半分以下の水準にまで落ち込むと予想している。一方、農家一経営当たりの飼養
頭数については、出荷頭数の減少により前年度に比べて2%増加したとみている。ABAREでは、過去のと
畜動向などに照らし合わせ、牛の出荷サイクルが下降局面に入ったとの見方をしており、米国産牛肉の輸出再
開などで肉牛価格が下落傾向にある中、この先も出荷頭数は減少傾向で推移するとみている。


出荷抑制や生産コスト上昇が要因と分析

  ABAREによると、農家現金収益について300頭以上の肉牛を飼養する肉牛生産農家で見ると、04/05年度
は豪州産牛肉需要の増加を背景に肉牛価格が高騰したことで、一経営当たり平均8万9千豪ドル(801万円:1
豪ドル=90円)と高い水準を記録したが、05/06年度は、前年度の半分以下となる3万4千豪ドル(306万円)
にまで減少したと予測している。この要因として、04/05年度が肉牛価格の高騰を背景に出荷頭数を増加させた
ことで、逆に05/06年度に入り、肉牛生産農家段階で牛群再構築の動きが進み、これが市場出荷頭数の減少によ
る収入減につながったと分析している。また、支出面についても、原油価格の高騰に伴う燃料コストや飼料価
格の上昇、さらに、人件費の引き上げが収益減少の一因として挙げている。

  ここ数年の肉牛生産農家の経営状況は、02/03年度が大規模な干ばつによりマイナスを記録したが、その後、
主要牛肉輸出市場での米国産牛肉の輸入禁止措置に伴い、豪州産牛肉の需要が高まったことで肉牛価格は大幅
に上昇し、これにより03/04年度から04/05年度の2カ年度については、一転して大幅なプラスとなっていた。
 
  肉牛生産者の中には、2カ年度で大きな収益を上げたことで、05/06年度は低い相場での肉牛出荷を嫌い、多
少のリスクは承知の上で相場を様子見する動きも数多くみられた。これが結果として、肉牛生産農家の意図す
ることなく牛群の再構築につながったとみる向きも多い。


低コスト、多頭飼育農家の経営が順調

  農家の経営状況を州別に見ると、低コスト、多頭飼育を行うにつれ、農家経営の収益幅が広がっている。農
家現金収益では、北部準(NT)州が一経営当たり平均18万6千豪ドル(1,674万円)と突出しており、次い
でクイーンズランド(QLD)州の2万4千豪ドル(216万円)、ニューサウスウェールズ(NSW)州の1
万4千豪ドル(126万円)と続く。また、規模別では、飼養頭数1,200頭を超える肉牛生産農家が一経営当たり
平均6万8千豪ドル(612万円)、600から1,200頭規模で2万4千豪ドル(216万円)、300から600頭規模で4
千豪ドル(36万円)となっている。放牧主体の生産経営でコストが低く、大規模農場がそのほとんどを占める
NT州の好調が目立っている。






【シドニー駐在員 横田 徹 平成18年10月5日発】




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