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2007年農業関係予算は前年比約30%増に(マレーシア)


2007年国家予算総額は、前年比18%増

  マレーシア政府は9月1日、2007年国家予算概要を公表した。同国は、2006年から2010年までの中期国
家経済開発計画である第9次マレーシアプラン(9MP)を3月に公表しているが、今回公表された2007
年予算は、新5カ年計画公表後、最初の予算となることから注目された。

  今回公表された2007年予算総額は、1,594億リンギ(約5兆849億円:1リンギ=31.9円)で、前年予算総
額の1,348億リンギ(約4兆3千億円)と比べ約18%増となっている。同国は、2020年までに先進国入りを
果たすことを目標とした2020年ビジョンを実現するための中期計画として9MPを位置付けている。

  2007年予算が増額された理由として、まず同国政府が9MPの推進を念頭に置いていたことが挙げられ
ている。さらに、2007年は世界経済が緩やかな伸びになるとともに、同国やシンガポール、タイなど東南
アジア地域の経済成長は鈍化することが予想されるため、公共投資を増加することにより同国経済の活性
化を図ろうとしていることが挙げられている。公共投資などには、前年予算額より約12%増の465億リンギ
(約1兆4,834億円)が配分され、インフラの整備や農業への投資が行われる予定であり、この額は予算
額全体の約30%に当たる。

  歳入については、1,348億リンギ(約4兆3千億円)を予定しており、このうちの約40%は石油関連収入
を見込んでいる。また、投資意欲などを高めるために法人税の引き下げも計画に盛り込まれている。


農業関係予算は30%の伸び

  同国では、農業は製造業、サービス業に続く重要な部門として位置付けられており、2007年における農
業分野には、前年比約30%増の36億リンギ(約1,148億円)が配分され、特に生産性の向上とマーケティン
グの強化に力を入れるとしている。

  畜産関係では、総額1億1千万リンギ(約35億円)がマレーシア獣医畜産局(DVS)など畜産関係部
局に配分されている。このうち、ヌグリ・スンビラン州グマス地域で開発が予定されている肉牛の振興計
画(ビーフバレー計画)に対しては、予算額として4千万リンギ(約13億円)が計上された。同国では、
国産牛の自給率を高めるために、9MPにおいて肉牛の振興計画が策定されているが、2007年予算に同計
画へ対する予算配分が盛り込まれたことで、同計画の推進が期待される。同国における牛の飼養頭数は、
2004年時点で約79万頭となっており、うち半島部では全体の9割に当たる約73万頭が飼養されている。計
画通りに開発が進んだ場合、9MPの最終年である2010年には、同地域で約15万頭の牛の飼養が計画され
ており、同国内における牛肉の自給率向上が図られるとしている。


ハラル振興へは9千5百万リンギを配分

 また、9MPおよび8月に公表された第3次産業基本計画(3IMP、「海外駐在員情報」第736号参照)
で振興が計画されているハラル事業については、総額で9千5百万リンギ(約30億円)が配分された。

 まず、首相府の下に同国内のハラル事業を統括する企業を設立して、ハラル食品の開発や地場産業の育
成、国際市場におけるサービスの提供などを実施するとしており、当該企業に対する交付金予算額として
2千5百万リンギ(約8億円)が計上されている。また、同国のハラル食品の輸出を振興するため、今後、
ハラル食品の展示会を年1回、開催する予定としている。

 さらに、同国内のハラル食品の製造拠点を整備するために5千万リンギ(約16億円)を計上したほか、
ハラル事業を展開する企業への融資資金として2千万リンギ(約6億円)を計上している。



【シンガポール駐在員 林 義隆 平成18年10月5日発】




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