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欧州委員会は4月4日、2004年5月に加盟した10カ国のうちハンガリーを除く9カ国に対し、農産物の過剰 在庫に対する負担金を課す案に合意した。 既に砂糖の過剰在庫に対する負担金については、2006年に実施されており、今回はそれ以外の農産物が対象 となっている。 過度な在庫による域内需給への悪影響を防ぐための措置 EUでは新規加盟国に対し、加盟前の国内の農産物価格がEU域内と比較して安価なことから、その後の価 格上昇を見越して積み増しされないよう、通常の繰越在庫量以上に農産物の在庫(民間と公共)を抱えて加盟 しないことを義務付けた。しかし、今回、負担金が課せられる9カ国については、食肉、乳製品などの農産物 の在庫が、必要以上に積み増されたことが算定された。 この欧州委員会の措置は、「安価な農産物の過度な在庫による域内需給への悪影響を防ぐ」目的から、これ らの過剰在庫に対して負担金を課すものである。 負担金の算定に2年を費やす 今回の在庫量の算出は、欧州統計局(EUROSTAT)の統計を基に、加盟前の1年間とその前の3年間 の在庫状況とを比較して行われた。当初、2005年に試算結果が出されたが、その後、関係国から提出されたデ ータなどによる算定を繰り返し行ったことから、欧州委員会は、算定に2年を費やした。また、新たな要素と して、新規加盟国の経済発展などの考慮、さらに、バターとバターオイル、品質や種類の異なった米、穀物な ど交換可能な品目は単一グループとみなし、マイナス在庫による在庫量の相殺をした。これらにより算出され た過剰在庫については、通常の繰越在庫の10%以内であれば負担金が課せられないこととした。 それぞれの加盟国の負担金額は、域内外の価格差から加盟後最初の年の平均輸出補助金額を減じた額に過剰 在庫量を乗じて計算されている。 最終的に、負担金総額は、当初計算された額と比較してかなり減額され、4,110万ユーロ(65億8千万円: 1ユーロ=160円)になると見込まれている。 今後の対応 該当加盟国は、砂糖の場合と同様、EUに対し負担金を4年間で支払うこととなり、1回目の支払いは、委 員会決定が各加盟国に通告された月の2カ月後の最終日までとなっている。それ以降は、2008年から2010年の それぞれ5月31日までに支払うこととなっている。 なお、この決定案の正式な施行に当たり、貿易に関する管理委員会において加盟国の代表により議論される 予定となっている。
【ブリュッセル駐在員 小林 奈穂美 平成19年4月11日発】
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