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アルゼンチン、繁殖経営への補てん制度を策定


600頭以下の繁殖経営を対象

  アルゼンチン農牧漁業食糧庁(SAGPyA)は7月19日、繁殖経営を対象とする補てん制度を策定したSA
GPyA決議第319/2007号(7月13日付)を官報に公布した。これは先に承認された畜産および牛肉産業振興の
ための「畜産振興計画」の枠組みによる。政府の市場介入や輸出制限などによって生じたゆがみにより、最も被
害を被った部門を支援することを目的としている。

  同決議では、経産牛600頭以下を飼養し、2007年1月1日から同年6月30日までの間に子牛を売却した繁殖経
営を対象としており、300頭を限度として販売頭数に応じた助成金が支給される。これによると、販売頭数が100
頭以下の生産者に対しては、1頭当たり60ペソ(2,280円:1ペソ=38円)、200頭以下の場合は最初の100頭につ
いては1頭当たり60ペソ、残りの頭数については1頭当たり30ペソ(1,140円)、300頭以下では、最初の100頭に
ついては同様で、101頭から200頭までが30ペソ、残りの頭数については1頭当たり20ペソ(760円)が支給される。

  受給に当たっては、@農場内で生産されたすべての子牛に対し、SAGPyA決議第103/2006号に従った個体
識別を行っていること、A牛群の生産性向上のため、衛生計画を実施すること、B受給日より起算して5年以上
にわたり、繁殖経営に従事すること−の履行が条件として定められている。

  SAGPyAでは今回の繁殖経営への助成金の総額を1億7千万ペソ(64億6千万円)と見積もっており、同
助成金は、畜産振興計画の予算から支給されることになる。


      
雌牛のと畜が過去10年間の最高を記録

 一方、アルゼンチン国家農牧取引監督機構(ONCCA)によると、2007年1〜6月のと畜頭数は692万頭と
前年同期に比べ11.8%の増加となった。これは前年の3月から5月にかけて、国内の牛肉価格の上昇を抑制する
ために一時的に輸出が停止されたことに起因している。このうち雌牛のと畜頭数は全体の46.4%を占め、過去10
年間で最も高い数字を記録した。

 アルゼンチン農牧協会(SRA)によると、と畜に向けられる雌牛の約2割が妊娠していると見られ、家畜の
飼養コストが上昇しているのに対し、家畜相場は依然として下降を続けているため、生産者は経産牛と生産予定
の子牛をと畜に回すという選択肢を選んでいるとしている。

  SRAでは、この状態が続くと、牛群の維持が困難となり、増加する需要に対し、供給が追いつかない恐れが
あると懸念を示している。


 




【ブエノスアイレス駐在員 横打 友恵 平成19年8月1日発】

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