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欧州委員会は8月13日、2006年にEU各加盟国において実施された伝達性海綿状脳症(TSE)に関する反すう 家畜の監視結果報告書を公表した。 EU全体でのBSEに関する検査頭数は約1,005万頭 TSEのうちBSEに関する検査は、EU加盟25カ国で約1,004万7千頭を対象に実施された。 検査対象区分別に見ると、BSE様の症状または疑いがある牛を対象とした受動的監視(passive surveillance) によるものは、全体の0.02%に相当する2,344頭であった。それ以外の大部分は能動的監視(active monitoring) であり、24カ月齢を超えるすべてのリスクのある牛(死亡牛、緊急と畜牛など)は約147万頭、また、30カ月齢を超 えるすべての通常にと畜された健康牛は約857万頭が検査された。 なお、健康牛を対象としたBSE検査については多くの加盟国でEU規則の規定による30カ月齢超の牛を対象と している。例外として、スウェーデンでは2006年3月まで同国でBSE陽性牛が確認されていなかったことから、 同年5月からの30カ月齢超を対象とした検査実施までは、無作為サンプリングにより抽出した牛のみを対象として いる。また、スペインでは検査対象月齢を自主的に引き下げ24カ月齢超を検査対象とし、ドイツは2006年6月下旬 まで24カ月齢超を検査対象としていたが、その後は30カ月齢超に検査対象月齢を引き上げている。 BSE陽性牛頭数は着実に減少 2006年のBSE陽性牛の頭数は320頭となり、前年の561頭に比べ43%の大幅な減少となっている。2005年におい ても前年と比較して35%の減少を示しており、年々着実に減少していることがうかがえる。 陽性牛は14カ国で確認されており、加盟国別に見るとイギリスが依然として最も多く129頭となっているものの、 前年に比べ42%減少している。これにスペイン68頭、アイルランド38頭、ポルトガル33頭が続いており、それぞれ 同34%、45%、35%の減少となっている。 陽性牛の頭数を検査対象区分ごとに見ると、受動的監視によるものが33頭、能動的監視によるものは287頭で、検 査対象に占める陽性牛の割合はそれぞれ約1.41%、約0.003%となっている。 2006年におけるBSE陽性牛の月齢を見ると、1頭を除きすべて60カ月齢超で、平均月齢は、通常にと畜された 健康牛については116.3カ月齢、リスクのある牛については130.7カ月齢となり、それぞれ前年に比べ上昇している。 ヒツジの監視を強化 本報告書では、ヒツジおよびヤギにおける監視結果も公表している。ヒツジについてはフランスとキプロスにお いて、通常ヒツジで見られるTSEであるスクレイピーとは異なるプリオンたんぱく質分子の特徴を有する事例が 確認されたことから、前年の約35万頭から約3倍の約104万頭に検査対象を増やし、1,421頭のTSE陽性畜が確認 された。ヤギについては前年をやや上回る31万頭を検査し、76頭のTSE陽性畜が確認された。なお、いずれの畜 種の検査においてもBSEの事例は確認されなかった。
【ブリュッセル駐在員 和田 剛 平成19年8月23日発】
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