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ブラジルのサンパウロ州は、国内経済の中枢を担う都市サンパウロを有し、国内におけるサトウキビ作付 面積の約5割、オレンジ栽培面積の約7割、トウモロコシ作付面積の約1割を占める代表的な農業州でもあ る。そこで、サンパウロ州農務局の作付統計を基に、同州における2004年から2006年にかけての作付状況の 変化を報告する。 草地面積は減少傾向で推移 2004年を基準に草地面積の変化をみると、北部では12%減少、南西部では5%減少とかなり減少している。 州全体ではやや減少している。なお、サンパウロ州の牛飼養頭数は1,400万頭程度で、ブラジル全体の約7% のシェアとなっているが、最近は横ばいないしわずかに減少傾向で推移しており、草地面積が減少する中で、 肉用牛生産は効率化を進めている。 穀物作付面積は減少傾向で推移 北部では12%減少、南西部では14%減少とかなり減少している。州全体ではやや減少している。 注:トウモロコシと大豆の作付面積の合算 サトウキビ作付面積は大幅に増加 北部では41%増加、中西部では39%増加、南西部では99%増加と大幅に増加している。州全体でも 大幅に増加している。オレンジ作付は横ばい傾向 北部では13%減少、南西部では9%減少とかなり減少する一方、中西部では19%増加している。州全体 では横ばい傾向である。草地だけでなく穀物もサトウキビへ転換 サンパウロ州の農業関係者の多くの方が今なお、草地からサトウキビへの転換が目立つことを指摘して いた。 これについては、@農産物価格の上昇に伴い、地代が上昇し、肉用牛生産はより効率的な放牧管理が進 められていることA多くのサトウキビ工場が自社で保有する畑、あるいは借地(一般的な借地料は、おお むねサトウキビ生産者販売額の25%相当)で自らサトウキビを生産しているため、多年生作物の果樹生産 者より、一年生作物の穀物生産者から借地する方が容易であることなどがその要因であると考えられる。 地域別にみると、特に北部、南西部では、草地面積はかなり減少する一方、サトウキビ作付は大幅に拡 大している。また、草地面積だけでなく、穀物作付面積も減少傾向を示していることが分かる。【ブエノスアイレス駐在員 松本 隆志 平成19年12月5日発】
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