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1.欧州委、生乳クオータを2008年4月から2%拡大する提案 欧州委員会は12月12日、2008年4月より、各加盟国の生乳クオータを2%拡大する提案を行った。2009年以降の政策 実施に向けて必要な調整を行う「ヘルスチェック」において、生乳クオータを徐々に拡大する提案が行われているが、 今回の提案は、EU域内外の厳しい生乳・乳製品の需給状況をかんがみ、これを前倒して実施するものとなる。 2.欧州委、CAPのヘルスチェックの原案を公表 欧州委員会は11月20日、共通農業政策(CAP)の中間検証作業として行う「ヘルスチェック」の原案を公表した。 「ヘルスチェック」は現行のCAPの政策手段を評価、検証し、2009年以降の政策実施に向けて必要な調整を行うもの である。主な項目は @ 直接支払制度の効率化および簡素化、A 市場対策について、国際化の進展やEU拡大を考慮 した見直し、B 気候変動、バイオ燃料需要拡大、水質管理、生物多様性を保護する新たな政策の検証となっている。 本案をたたき台としたCAPの見直しについては、今後、農相理事会などにおける6カ月間の協議を経て、2008年末ま でに農相理事会において採択、最終決定される予定となっている。 3.豚肉の輸出補助金を再開(EU) EUの豚肉管理委員会は11月29日、豚枝肉などに対する輸出補助金の一時再開を決定し、11月30日よりこの措置の適 用を開始した。今回の輸出補助金は、EU域外の全ての国に輸出される豚肉などが対象で、豚枝肉は100キログラム当 たり31.1ユーロ(5,100円:1ユーロ=164円)などとなっている。なお、10月29日より開始されていた豚肉の民間在庫 補助の受付は12月4日をもって打ち切られている。 4.厳しい穀物需給への対応(EU) 世界およびEUでの厳しい穀物需給および価格高騰に対処するため、農相理事会は9月26日、穀物生産を抑制するた めに380万ヘクタールの農地で実施されている義務的休耕(セットアサイド)制度について、2007年秋および2008 年春には種する耕地について義務的休耕率をゼロとすることを決定した。 また、欧州委員会は11月26日、2008年6月30日までの間、エン麦を除くすべての穀物に課す輸入関税を一時的にゼロ とする提案を行った。 5.イギリスで6年ぶりに口蹄疫が発生 イギリス環境・食料・農村地域省(DEFRA)は8月3日夕刻、イングランド南東部サリー州の農家が飼養する牛 から口蹄疫ウイルスを確認したことを公表した。同国においては2001年以来の発生確認となる。監視区域の設定や移動 制限など防疫措置実施の影響により、特に監視区域などが設定されているイングランドの畜産農家の経営に対する多大 な損害が懸念されている。 6.2020年までに再生可能エネルギーシェアを20%とする目標を決定 (EU) 欧州理事会は3月9日、地球温暖化防止およびEUのエネルギー確保や競争の促進を目的としたエネルギー分野全体 での新たな政策パッケージについて合意した。今回の合意で、EUは2020年の温室効果ガスの排出量について90年比で 最低20%削減することとし、この温室効果ガス削減のための具体的な対策として、2020年までに、再生可能エネルギー をEU全体で消費するエネルギーの20%まで引き上げること、全加盟国で輸送に利用される燃料の最低10%をバイオ燃 料由来のものとすることを義務とする。 7.乳製品の輸出補助金をすべてゼロに(EU) 欧州委員会は6月14日、乳製品の輸出の際に適用する輸出補助金をすべてゼロとし、翌15日の申請分より適用するこ ととした。世界的な乳製品需給のひっ迫を背景に乳製品の国際価格は上昇を続けており、今回の大幅な輸出補助金の引 き下げとなった。すでに、脱脂粉乳については昨年6月、全粉乳については本年1月にゼロとなっているが、今回の決 定によりバターの輸出補助金をそれまでの100キログラム当たり50ユーロ(8,200円)からゼロに、チーズの輸出補助金 も全種類でゼロとした。 8.EUの穀物生産量は2年連続で前年を下回る 本年4月の異常な熱波、その後、夏にはヨーロッパ西部を中心とした多雨およびヨーロッパ南東部を中心とした干ば つなどの影響により、EUにおける2007年の穀物生産は2,560万トンと、平年を下回る生産量であった前年をさらに1 千万トン下回ると予想されている。 9.2006/07年度牛乳供給量、7カ国が超過(EU) 欧州委員会は10月18日、2006/07年度のEU25カ国の生乳供給量の速報値を公表した。これによると、生乳生産割当枠 (クオータ)に対する生乳供給量は、イタリア、オーストリアなど7カ国で77万4,148トン超過し、これに伴う課徴金は 2億2,094.2万ユーロ(362億3,449万円)となった。しかしながら出荷クオータ、直接クオータともに、全体ではそれぞ れ191万9千トン、34万8千トン下回る結果となっている。 10.ブロイラーの動物福祉基準について合意(EU) EUの農相理事会は5月7日、ブロイラーの飼養方法に関し、新たな動物福祉基準を設定することに合意した。欧州委 員会は2005年5月に本基準に関する指令案を提案していたが、各国の意見が対立し、当初の飼養密度に関する基準を緩 和するなどしてようやく合意にこぎつけた。欧州委員会は、今回の合意がEUにおいて動物福祉の取り組みが改善され るのみならず、鳥の健康やそこから生産される肉の品質向上につながるとしている。
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