ALIC/WEEKLY
1.日本・タイ経済連携協定(JTEPA)が発効(タイ) 日本とタイの経済連携協定(JTEPA)が11月1日に発効した。JTEPAでは、日本への畜産物の市場アク セスについては、鶏肉が関税削減、豚肉調製品の一部が関税割当の対象品目とされたほか、豚肉が再協議の対象と なり、牛肉や指定乳製品などはJTEPAから除外とされた。 タイ政府は、鶏肉調製品などの対日輸出拡大に期待を寄せているが、タイ畜産業界は、関税の下げ幅が小さいこ とや関税割当数量が少ないことなどから当面の影響は少ないとみており、総じて冷静な反応を示している 2.粉乳輸出停止措置を延長せず(インド) インド政府は、9月30日を期限として2月から実施していた粉乳の輸出停止措置について、期限の延長をしない こととした。これにより、10月1日から脱脂粉乳、全粉乳を含む粉乳の輸出が可能となった。酪農業協同組合連合 会や加工業者は輸出再開を歓迎する一方、祝祭シーズン前の輸出再開による価格上昇を懸念する声もあるが、政府 関係者は、価格上昇が見られた場合は、輸出停止以外の手段によりその抑制を図ると述べている。 3.鶏肉調製品の中東向け輸出再開へ(タイ) タイ農業・協同組合省は8月3日、アラブ首長国連邦がタイのハラル認証システムおよび同国産鶏肉調製品の輸 入について承認した旨を発表した。従来、中東地域へはタイ産鶏肉の輸出が行われていたが、2004年にタイで確認 された高病原性鳥インフルエンザ(AI)発生に伴う同国産冷凍鶏肉の輸入停止措置やハラル処理をめぐる認証問 題などもあり、アラブ首長国連邦などへの輸出が停止していた。今回、アラブ首長国連邦に対する鶏肉調製品の輸 出再開が承認されたことにより、タイは中東市場への輸出拡大に期待を寄せている。 4.今年2度目の乳製品の関税率削減を実施(ベトナム) ベトナム財政省は10月22日付け決定により、一部の乳製品の関税率を一時的に削減する。今年8月にも同様の乳 製品の関税率の一時削減を実施しており、この結果、本来の関税率から70〜80%削減されることとなる。しかしな がら、加工業者からは、短期的には製品価格が下がることは難しく、むしろ年明けに値上げをする可能性があると の声が出ている。 5.AIが東南アジア周辺の各地で発生 東南アジアにおけるAIの発生は2003年以来とされているが、それから4年後の現在でも各地で発生が報告され ている。2007年には、ベトナム、タイのほかにミャンマーやラオス、カンボジア、マレーシア、インド、バングラ ディッシュ、パキスタンでも発生が確認された。このような中、AIが未発生の国や終息している国はAI発生へ の警戒を強化している。 6.10年ぶりに乳価を改定(タイ) タイ政府は4月中旬、1リットル当たり1.25バーツ(4.6円:1バーツ=3.7円)の生乳生産者販売価格の値上げ を認め、4月1日からさかのぼって適用することを決定した。生乳生産者販売価格は、97年に農業・協同組合省農 業経済事務所により、基準価格1リットル当たり12.5バーツ(46円)に決定されて以来、これまで変更されなかっ た。近年、飼料原料価格の上昇や原油高などの生産コストの上昇は、生産者の経営を圧迫しており、生産者側は1 リットル当たり2バーツ(7.4円)の引き上げを要求していた。 7.価格上昇を受けた生乳増産への取り組み(インドネシア) 国内で消費される牛乳(加工乳、乳飲料含む)の原料の約7割を輸入に依存しているインドネシアでは、記録的 な高値で推移する海外の粉乳価格を背景に、生乳の買い取り価格が上昇しており、このような中、酪農協が中心と なって、生乳増産への各種の取り組みが始まっている。 8.今年も需要期に鶏肉不足の懸念(フィリピン) フィリピン農務省(DA)は、鶏肉需要が増加するクリスマスシーズンに向けて、今後、約3千トンの鶏肉を追 加輸入する必要があるとの見通しを表明した。DAは、今年のブロイラー飼養羽数について前年比6.1%増の3,819 万羽を見込んでいたが、第2四半期以降、酷暑や干ばつが長引いた影響などにより鶏肉生産量が減少しているため、 需要期に向けた追加輸入が必要としている。 9.新たな肉用牛・水牛生産振興策を承認(タイ) タイ暫定内閣は8月14日、中止状態だった既存の「肉牛百万頭計画」の廃止と、これに替わる新たな肉用牛・水 牛生産振興策を承認した。併せて、「肉牛百万頭計画」の実施団体として設立された特別目的会社の解散を採決し た。新たな生産振興策では、2010年までを実施期間として、農家に対して、農業・農業協同組合銀行が肉牛や水牛 の導入資金を直接融資する。また、農業・協同組合省は、豪州産牛肉に対抗できる低コストで高品質の牛肉生産を 推進することを目的に、肉用牛品質改善計画を実施することとしている。 10.三度目のAI清浄化宣言(マレーシア) マレーシア農業・農業関連産業省は9月10日、今年6月に首都近郊のスランゴール州で発生したAIについて清 浄化が確認されたと発表した。同国におけるAIの発生は、2004年8月、2006年2月に続き今回で3回目の発生と なるが、2004年以降、同国でAI防疫対策のために殺処分された家きんは合計で約8万羽、農家に対する補償金総 額は約1千万リンギ(約3億3千万円:1リンギ=32.7円)としている。また、長期的な感染予防対策として、家 きんなどの放し飼いに対する規制の強化が必要であり、州政府による現行の規制の強化もしくは新たな規制の制定 を提唱している。
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