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粉乳価格の高騰により、全粉乳の輸出補助金をゼロに 欧州委員会は1月25日、牛乳・乳製品に係る輸出補助金を修正する規則を適用し、全粉乳の輸出補助金 をゼロとした。 現在、脱脂粉乳、全粉乳の国際価格は高騰を続け、記録的な高値で推移している。これは、中国を中心 としたアジア経済の急成長による需要の増加に加え、豪州での干ばつによる生乳生産量の減少が主な要因 とされている。 また、EU域内においても、生乳生産量が伸び悩み、粉乳の生産量が減少している。一方で域内需要が 好調なことから、粉乳の価格は高騰している。EU域内の粉乳の価格をオランダの公定価格(1月24日現 在)で見ると、2007年1月の飼料向け脱脂粉乳は、100キログラム当たり232ユーロ(約3万7千円:1ユ ーロ=159円)、全粉乳は同251ユーロ(約4万円)となり、2006年で最も価格が低かった5月と比べてそ れぞれ16.8%高、7.6%高となっている。 このため、全粉乳の輸出補助金については、昨年6月に100キログラム当たり54ユーロ(約9千円)が、 11月に31ユーロ(約5千円)、12月に21ユーロ(約3千円)、本年1月上旬に10ユーロ(約2千円)と価 格の高騰とともに削減され、今回ゼロまで引き下げられた。なお、脱脂粉乳は、昨年6月に輸出補助金が ゼロとなっている。 欧州委員会は2007年の乳製品生産を好調と予測 イギリスの牛乳・乳製品の製造から流通までの関係する業界団体を会員とする横断的な組織であるデイ リーUKは1月18日、欧州委員会との会談に関するコメントを公表している。この中で、欧州委員会の粉 乳の輸出補助金に関する見解として、「粉乳市場は、強い需要、タイトな供給、経済成長、在庫量の減少 により好調で、2007年に入っても記録的な価格が続いている。EUにおいても市場介入価格を大きく上回 る価格となったため、輸出補助金の引き下げを行っている。輸出補助金はEU域内の市場を管理するため の政策であり、バターの需要が低調な場合、バターの減産に伴い生産が増加する全粉乳の輸出量を、輸出 補助金により増加させ、乳製品全体のバランスを保つ必要がある。しかし、バターの需給は堅調に推移し ており、結果として全粉乳の輸出補助金を削減することとした」と紹介している。 また同委員会は、EUの酪農分野は、好調な状況が長期的に続くと見ており、同業界は、政策的な支援 なしに持続的に発展していくべきであるとしている。 【ブリュッセル駐在員 山ア 良人 平成19年1月31日発】
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