ALIC/WEEKLY


鳥インフルエンザが再発(ベトナム)


南部メコンデルタ地域でAI再発

  ベトナム農業農村開発省は2006年12月19日、同国南部メコンデルタ地方のカマウ省とバクリュウ省において、
鳥インフルエンザ(AI)の発生による家きん類の大量死が確認されたことを公表した。

  同省は同日に開催された鳥インフルエンザ・コントロール国家運営委員会の会合において、同12月6日にカ
マウ省でニワトリ約5百羽、アヒル約2千羽の大量死が、翌7日には隣接するバクリュウ省でもニワトリなど
約3千5百羽の大量死が確認されたためサンプル検査を実施していたが、死亡した家きん類から鳥インフルエ
ンザH5N1型ウイルスの陽性反応が検出されたとしている。同国では、2005年12月以降AIの発生は確認さ
れていなかったが、2006年8月上旬に、南部メコンデルタ地方ベンチェ省でアヒルのAI感染事例が報告され
ていた。この時は、同8月6日にアヒル50羽、同15日にアヒル66羽の死亡が確認されていたが、その後今回の
事例確認まで家きん類の大量死は報告されていない。

 その後、同国におけるAI発生については、1月17日現在で、南部メコンデルタ地方のハウザン省、キエン
ザン省、ヴィンロン省、チャービン省およびソクチャン省を含む7省まで拡大しており、合計で約1万羽の家
きん類が死亡、約1万5千羽の家きん類が廃棄されている。

 なお、世界保健機関(WHO)によれば、同国では2005年11月以降2007年1月29日現在まで、ヒトへのAI
感染事例は報告されていない。


感染拡大を懸念

 同国では、2006年に家きん類を対象にしたワクチン接種を2回実施しているが、今回AIの再発が確認され
たカマウ省とバクリュウ省の事例については、ワクチン接種が実施されていない不正に飼育された家きん類で
あることと、養鶏農家が死亡した家きん類を川に廃棄していたことが明らかになっている。このため、農業農
村開発省は感染地域の拡大を懸念しているほか、養鶏業者や地方政府のAI感染防止に対する意識の低さも問
題であるとしている。

 また、家きん類の大量死についての報告が、発生後5日以上経てから行われたことから、同省大臣は、カマ
ウ省とバクリュウ省の対応を批判している。このため同省は、当該2省当局に対し感染地域の消毒、家きん類
や加工品などの管理の厳格化およびヒトの健康状態の監視などについて指示を行うとともに、全国の各省市に
対してもAIの感染拡大に備えるよう求めている。

 さらに、家きん類がAIに感染する危険度が高い地域においてワクチン接種を指示するほか、関連省庁に対
しても、家きん類および加工品などの輸送、売買、処理などの厳格な管理を要請するとともに、国境沿いの省
における密貿易に対する処罰の強化を訴えている。


さらにワクチン接種を計画

 同省は、乾期にAIが流行する傾向が強いことおよび近隣諸国におけるAIの発生などにより、同国でもA
Iの大発生が懸念されるとしている。また、2月に迎える旧正月に家きん類の需要が増加することからも注意
が必要としている。

 そのため、2007年から2008年にかけて、約1,850億ドン(約12億9千5百万円、1,000ドン=7円)をかけて
家きん類にワクチン接種を実施する方針を示すとともに、2007年2月末日までアヒルの生産を禁止することを
表明した。


◎WTO加盟日は1月11日

 同国政府は95年以降、世界貿易機関(WTO)加盟を目指してきたが、2006年11月7日に開催されたWTO
一般理事会において、150番目の加盟国として承認された(「海外駐在員情報」742号参照)。その後、同国国
会での批准手続きを経てWTO本部に対し2006年12月12日、WTO加盟議定書の受諾を通知したことにより、
同国のWTO正式加盟は議定書批准通知の30日後となる1月11日に決定した。




【シンガポール駐在員 林 義隆 平成19年2月1日発】



元のページに戻る