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2007/08年度畜産物輸出額、前年度比1.0%増の見込み(豪州)


2007/08年度農産物輸出額は、前年度比3.4%増の見込み

 豪州農業資源経済局(ABARE)は6月25日、2007/08年度における一次産品の輸出などの見通しを
公表した。これによると、2007/08年度の農産物輸出額は、前年度比3.4%増の281億3,600万ドル(2兆
9,543億円:1豪ドル=105円)となり、2006/07年度の同1.9%減、272億1,100万豪ドル(2兆8,572億
円)の減少から増加に転じると見込んでいる。内訳を見ると、畜産物については、牛肉、羊肉および乳
製品などの価格が上昇することから同1.0%増の142億3,500万豪ドル(1兆4,947億円)とされる。また、
穀物については、生産量が前年度の大幅な落ち込みから回復すると見られることなどから、小麦や大麦
などを中心に輸出が増加し、同6.0%増の139億100万ドル(1兆4,596億円)となる。


牛肉輸出量は減少も、牛肉輸出額は前年度並み

 2007/08年度の牛肉生産は、干ばつ気象の改善に伴い牛群の再構築が進み、その結果、肉牛と畜頭数
(前年度比7.9%減)、牛肉生産量(同7.6%減)とも前年度を下回るとされる。また、海外からの牛肉
需要は、引き続き強い。こうした牛肉需給状況を反映して、豪州における肉牛平均市場価格は前年度を
10%上回ると見ている。

 輸出額については、輸出量が同9.1%減の89万トンと減少するものの、輸出価格が上昇することから、
前年度とほぼ同額の43億7,400万豪ドル(4,593億円)となる。

 日本向けについては、日本の米国産牛肉の輸入規制に大きな変更はないと想定しており、豪州産牛肉
輸出への影響は小さいとしている。しかしながら、豪州での肉牛価格上昇やその他輸出コスト増に伴い
輸出価格が上昇することから、2007/08年度牛肉輸出量は同6.4%減の38万トンになる。一方、韓国向
けについては、米国産牛肉輸入規制の緩和が急速に進むと見ている。特に2007年後半に骨付き牛肉の輸
入が解禁されると想定した場合、短期的に見て豪州産牛肉輸出への影響が大きい。このため2007/08年
度牛肉輸出量は同29.0%減の11万トンになる。また、米国向けについては、豪州における雌牛と畜頭数
が減少することなどから、2007/08年度牛肉輸出量は同10.1%減の27万5千トンとしている。





国際乳製品価格の継続的な上昇により、乳製品輸出額は前年比8.5%増

 2007/08年度生乳生産は、生乳の主生産地であるマレー・ダーリング集水域における年度当初かんが
い用水の割当量が非常に限定的であると見られること、さらに干ばつの影響により乳牛のとうたが進ん
だことなどから前年度比2.1%減の935万キロリットルとさらに減少する。また、生産者への支払乳価は、
国内生産量が減少する一方、強い国際需要を背景として粉乳やチーズなど乳製品国際価格が非常に高水
準となることから需給がひっ迫し、その結果、同18.1%高の38.5豪セント(約40円)/リットルになる
と見ている。

 輸出額については、輸出量が減少するものの国際価格が高水準であることから、同8.5%増の24億4,800
万豪ドル(2,570億円)と増加する。品目別では脱脂粉乳(同57.0%増、8億700万豪ドル(847億円))
や全脂粉乳(同18.1%増、3億4,600万豪ドル(363億円))が前年度を上回る。一方、バター(同0.6
%減、1億7千万豪ドル(179億円))、チーズ(同12.4%減、5億9,100万豪ドル(621億円))およ
びカゼイン(同54%減、4,600百万豪ドル(48億円))については、前年度の実績を下回ると見ている。





【シドニー駐在員 井田 俊二 平成19年6月28日発】



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