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連邦政府による低利融資を大幅に拡大 ブラジル農務省(MAPA)は6月28日、次年度の作付けを前に2007/08年度農業プランを公表した。同プ ランによると、農業融資計画額は前年を16%上回る580億レアル(3兆7,062億円:1レアル=63.9円)となっ ている。 融資のうち、営農および販売融資は18.6%増と大幅に増加し491億レアル(3兆1,375億円)が充てられ、 年利6.75%(前年度8.75%)が適用される。また投資融資は3.5%増とやや増加し89億レアル(5,687億円)が 充てられ、例えば農村所得雇用創出プログラムは年利6.25%(前年度8.00%)、収穫機近代化プログラムは年 利7.50〜9.50%(前年度8.75〜10.75%)が適用されるなどとなっている。 また農家当たりの融資限度額も引上げられ、例えばトウモロコシ、ソルガム、小麦など穀物生産農家に対す る融資限度額は45万レアル(2,880万円)(前年度40万レアル(2,560万円))、「大家畜経営」は15万レアル (960万円)(前年度14万レアル(890万円))、インテグレーションに参加しない「中小家畜経営」は15万レ アル(960万円)(前年度12万レアル(770万円))となっている。 最低価格について見ると、生乳、カシューなど一部引き上げられた品目もあるが、大豆、トウモロコシ、米 などの穀物は据え置きとなっている。 これら融資額の拡大と金利引き下げのほかに、@農村保険への加入率を高めるための法整備、A農産物の流 通システムの整備のためのワーキング・グループの設置、B政府融資の返済期間の延長−なども示されている。 中規模経営の育成を強化 なお、2007/08年度農業プランの目玉は、農村所得雇用創出プログラムの対象経営の拡大である。同プログ ラムは、農畜産品の生産を行う経営が生産性の向上や生産量増加を目的とした施設整備を行う場合の融資計画 であるが、これまで小規模経営(年間売り上げ10万レアル(639万円)まで)のみを対象としていた。今回、 対象経営を中規模経営(年間売り上げ22万レアル(1,406万円)まで)に拡大し、また融資限度額も10万レア ル(639万円)まで引き上げ(昨年度は4.8万レアル(307万円))、金利も連邦政府による融資の中で最も低 金利(6.25%)となっている。 農業団体は不満を表明 農業団体は、ブラジルの金利が低下する中(筆者注:昨年6月頃のブラジルでの普通銀行の貸し出し金利は 年利30%程度であったが、現在25%程度)で、営農および販売融資の金利の引き下げ幅を注目していた。 2007/08年度農業プランに対し、ブラジル全国農業連盟(CNA)は「生産コストの上昇、生産物価格の低 下、レアル高による収入の減少などにより過去3年間危機に直面してきた農業界にとって満足すべきものでは ない。多くは過去のプランの焼き直しであり、収入と資本の減少に直面する農業界の現状を変えるために役立 つものではない。MAPAが大幅に引き下げたという金利水準も満足すべきものではない。農業融資計画額も CNAの要求額を大きく下回るものである」と不満を表明している。 しかしながら、一方で連邦政府が中規模経営に目を向けた施策を始めたことに対し、評価する声もある。 【ブエノスアイレス駐在員 松本 隆志 平成19年7月4日発】
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