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輸入乳製品価格の上昇の影響が広がる(インドネシア)


 東部ジャワ地域で生乳価格が実質値上げ
 
  東部ジャワ地域の酪農協同組合によれば、当地の乳業メーカーが、7月1日から生乳の買い取り価格を
約2〜3%値上げした。これは生乳1キログラム当たり約60ルピア(約0.81円:1ルピア=0.0135円)に
相当する。この値上げは、豪州の干ばつによる生乳生産の減少に伴う、直近2カ月の輸入乳製品価格の急
激な上昇が引き金となり、乳業メーカーの国産生乳への需要が増加した結果とされている。この結果、生
乳買い取り価格は、乳成分や細菌数による等級によって差があるものの、1キログラム当たり2,450〜2,925
ルピア(約33.08〜39.49円)から2,510〜2,985ルピア(約33.89〜40.30円)に値上がりした。これに加え、
輸送費の特別手当も出るなど、国内産生乳の買い取り競争が激化しているとのことである。

 一方、乳業メーカーによれば、酪農協同組合の申し入れに伴い買い取り価格に上乗せをしたことは認め
たものの、あくまでも買い取り価格の上昇ではなく、報奨金、輸送費の補助であるとしている。その額は、
等級と輸送距離によって異なるものの、生乳1キログラム当たり最大200ルピア(約2.70円)、平均60ルピ
ア(約0.81円)になるという。



乳製品小売価格も上昇

 輸入乳製品原料価格の上昇は、乳製品の小売価格の上昇にもつながっている。貿易省の調査によれば、
一部の地域を除いて乳製品の小売価格は2〜3%の上昇にとどまっており、これは通常みられる価格上昇
の範囲内であるとしている。また、これは原材料となる輸入全粉乳の価格の上昇によるものであり、小売
価格は年内は徐々に上昇し、上昇率は5〜10%に達すると見通す乳業メーカーもある。
 
  また、農業大臣は7月4日、国際市場における輸入乳製品原料価格は以前の水準には戻らないという見
通しを示し、国内の育児用粉ミルクメーカーに、豪州やニュージーランド(NZ)に代わる原料供給先を
検討するよう示唆した。農業大臣は、豪州やNZからの輸入を制限するつもりはないとし、この2カ国か
らの輸入を続けるか、具体的な国名は挙げなかったものの、衛生要件やハラル要件を満たす別の国から輸
入するかの選択だとしている。もっとも、メーカー側からは、こうした示唆に対して、まず衛生要件やハ
ラル要件をクリアした輸入可能な国のリストを示すべきだという意見も出されている。



一部の生産者には飼料価格の上昇による不満も

 こうした乳製品価格の上昇を機に、一部の生産者では増産意欲が向上している。しかしながら、飼料価
格の上昇により、乳製品価格の上昇の恩恵を受けていない生産者もいる。4頭の乳牛を飼養するある農家
では、生乳価格は1リットル当たり1,850ルピア(約24.98円)から2,000ルピア(約27.00円)に上昇した
ものの、飼料価格の上昇により、利益はほとんどないという。


             
                       

【シンガポール駐在員 佐々木 勝憲 平成19年7月18日発】



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