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米国農務省経済研究所(USDA/ERS)は7月16日、米国における飼料穀物の需給予測(Feed Out look) を公表した。同省は毎月、この需給予測を公表しているが、今回の予測は、同省全国農業統計局(NASS)が 6月29日に公表した2007年の主要農作物の作付実績(推計値)を反映し、前回の予測値を上方修正したものとな っている。 2007年度のトウモロコシ生産量は過去最高と予測 今回の予測によると、2007年度(2007年9月〜2008年8月)のトウモロコシ生産量は、作付面積が前年度比19 %増(9,289万エーカー)となったことを受け、前年度比22%増の128億4千万ブッシェルと見込まれ、前回の予 測からさらに3%上方修正された。これは、トウモロコシ生産量が過去最大となった2004年度(118億1千万ブ ッシェル)を10億ブッシェル以上上回るものである。 また、そのほかの飼料穀物であるソルガム、大麦、エンバク(オーツ)の生産量は、それぞれ前年度比55%増 (4億3千万エーカー)、同28%増(2億3,100万エーカー)、同7%増(1億100万エーカー)と、すべてで増 加が見込まれており、飼料穀物全体の生産量としては、86年度以降最大になることが見込まれている。 USDAでは、この生産量の増加について、本年はエンバク(オーツ)を除き、すべての飼料穀物の作付面積 が増加しており、2006年末以降の飼料穀物価格の高騰により、生産者の作付け意欲が刺激された結果であるとし ている。 2007年度の飼料穀物の家畜飼料仕向け量は増加の見込み 2007年度のトウモロコシ需要を見ると、飼料向け(57億ブッシェル)と食品・工業用向け(47億9千万ブッシ ェル)が前回予測と同様であったのに対し、好調な海外需要などを背景に、輸出向け(20億ブッシェル)が前回 からわずかに(2,500万ブッシェル)上方修正されるなど、需要全体では前年度に比べ1割程度増加する(125億 ブッシェル)と見込まれている。 USDAは、今回の予測の中で、2007年度のトウモロコシの飼料向け需要は、前年度に比べ1%程度の減少と する一方で、小麦の飼料仕向け量が大幅に増加することなどから、上記4品目の飼料穀物に小麦を加えた飼料仕 向け量全体では、前年度比4%増(1億6,300万トン、うちトウモロコシの占める割合は約9割)になるものと 見込んでいる。 また、今回の予測の中で、2007年度における飼料穀物の生産者販売価格については、生産増から期末在庫数量 が引き上げられたことにより、すべての作物において下方修正されており、同年度のトウモロコシ価格は、1ブ ッシェル当たり2.80〜3.40ドル(トン当たり13,600〜16,500円:1ドル=123円)(前月予測では同3.10〜3.70 ドル(トン当たり15,000〜17,900円))と見込まれている。 食肉生産の増加が飼料穀物需要を後押し USDA(6月22日付けCattle On Feed)による本年6月1日現在の収容能力1,000頭以上のフィードロット における牛飼養頭数は、前年同期比1%増の1,127万頭とわずかに増加しているため、同省では、現在、肉牛向 けの飼料消費量は、前年を上回っているとしている。しかし、今後の牛飼養頭数の拡大については制限されるも のとし、2007年下半期および2008年上半期の牛肉生産量については、前年同期をわずかながら下回るものと予測 している。 一方、同省(6月29日付けQuarterly Hogs and Pigs)によると、2006年12月〜2007年5月における子豚生産 頭数実績は、一腹当たりの産子数の増加などにより、前年同期に比べ2%程度増加(5,335万頭)しており、ま た、養豚生産者は、2007年6〜11月には昨年同期以上の種付けを実施するとの意向を示しているとしている。 これにより、USDAでは、2008年の豚肉生産は、前年を上回って推移するものと見込んでいる。さらに、2008 年のブロイラーや鶏卵生産についても、現在見込まれている2007年予測を上回るものと予測している。 このようなことから、USDAでは、畜産物全体で見た場合、増加傾向で推移する食肉生産が、飼料穀物に対 する需要を後押しすることになるとしている。また、同省では、トウモロコシの飼料利用は減少するものの、そ の分エタノール生産の副産物である蒸留穀物(Distiller’s Grains)の利用が増大するものと見込んでいる。 【ワシントン駐在員 唐澤 哲也 平成19年7月19日発】
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