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収穫は順調ながら輸出登録は再び停止 アルゼンチンでは3月から4月中旬にかけ長雨が続き、トウモロコシ収穫に遅れがみられたが、4月下 旬以降、晴天が続いていることから、遅れを取り戻しており、2007年の生産量は収穫前の2月に見込まれ た2,200万トンと見込まれている。 またトウモロコシの輸出については、5月に輸出登録が再開されたが予定の300万トンの輸出登録が数日 間で行われ、現在、再びトウモロコシの輸出登録が停止されている。また関係者は、政府がこれ以上の輸 出登録を許可しないと考えていることから、2007年産のトウモロコシ輸出量はこれまでに輸出登録が済んだ 1,369万トンと見込まれる。 輸出市場確保のためGMトウモロコシ2系統の栽培を禁止 アルゼンチン国立種子研究所(INASE)は決議125/2007号(2007年5月24日付け)により、形質的 な転換により除草剤グリホサートに耐性を持つトウモロコシ種子(GA21系統)および除草剤グルホシネ ートに耐性を持つトウモロコシ種子(Event 176系統)の商業的な許可を取り消すことを発表した。 同決議では商業的な許可を取り消す理由として、 @ GA21系統については、その安全性について欧州食品安全機関(EFSA)が評価を行っていると ころであり、EUの承認が済んでいない。このため、組み換え食品および飼料に関するEU規則 ((EC)No1829/2003)に基づき、2007年4月18日から未承認GM物質であるGA21系統の許容 含有率が0.5%から0.1%に引き下げられたこと A Event 176系統については、Event176系統トウモロコシおよびその製品を市場から取り除くEU決定 (2007/304/EC)を発表していること B 低率の関税枠が設けられているEUの市場を失うと、トウモロコシ輸入先を東南アジアや北アフリ カに求めることとなり、これらの地域までの運賃を加えると、アルゼンチンのトウモロコシの競争 力が失われてしまうこと を挙げている。同決議は現在の収穫物には影響しないものの、GA21系統およびEvent176系統のは種、増 殖、種子の販売は直ちに禁止されることになった。なお、同決議により不利益を被るトウモロコシ生産者 に対する支援策は発表されていない。 【ブエノスアイレス駐在員 松本 隆志 平成19年6月5日発】
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