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三度目のAI発生 東南アジアにおける鳥インフルエンザ(AI)の発生は、恒常的に犠牲者が出ているインドネシアを除いて は、ほぼ、散発的となっているが、依然としてウイルスの変性によるヒトからヒトへの感染が懸念されている。 6月上旬、マレーシアでは、首都のクアラルンプールの西約5キロメートルのセランゴール州スンガイブロー の家きんからH5N1亜型のウイルスが確認された。これは、2004年8月以降、2006年2月に次いで、3度目 のAI発生である。 対応は従前通り殺処分 今回の発生確認場所は、人口の密集する首都から近く、迅速な対応が要求された。 5月下旬、発生場所の農家の約70羽の鶏に目や鼻腔からの粘液を伴う異常な死亡が見られるようになった。 この異常に気付いた近所の人が獣医局(DVS)事務所に届けたのが6月2日とされている。4日に検体が陽 性であると判明し、イポーの獣医研究所(VRI)で5日に確定され、6日にプレスリリースされた。 発生確認後、発生場所から半径1キロメートルの家きんは殺処分とすることとともに、半径10キロメートル の監視ゾーンが設定され、家きんの移動が制限された。7日の午後までに約2千羽の殺処分が行われ、対象羽 数の完了するまでに2日間を費やした。なお、殺処分に係る補償額は、1羽当たり、カモやアヒルは6〜10リ ンギ(210〜350円:1リンギ=35円)、鶏は3〜4.2リンギ(105〜147円)、ダチョウは300リンギ(10,500円)、 ウズラは5リンギ(175円)で、鶏卵は1個当たり0.2リンギ(7円)、アヒル卵は同0.25リンギ(9円)とな っている。 シンガポールは発生州からの輸入を停止 シンガポール食品獣医庁(AVA)は、6月6日にDVSからの通報に基づき、今回のAI発生場所がある セランゴール州からの家きんと卵の輸入を即日停止した。AVAによれば、セランゴール州は家きんなどの主 要生産地ではないため、輸入停止措置に係るシンガポールへの影響は小さいとしている。また、AVAは、シ ンガポールは1カ月当たり360万羽の家きんと8,370万個の卵をマレーシアから輸入しているが、そのうちセラ ンゴール州からの割合は家きんで1%、卵で6%にすぎないとしている。 なお、マレーシア国内では、今回のAI発生に伴い、ボルネオ島のサバ州が半島マレーシアからの生鮮鶏肉 の移入を禁止した。 また、マレーシアの衛生当局は、AIの発生確認後、発生場所半径300メートル以内の周辺の住民の健康確認 を実施し、該当する71家族307人については、特段の問題はないとしている。 【シンガポール駐在員 斎藤 孝宏 平成19年6月14日発】
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