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パラグアイおよびブラジルとの国境に監視地帯を設置 アルゼンチン国家動植物衛生機構(SENASA)は3月7日、国際獣疫事務局(OIE)より、北 部地域の国境に設けられた監視地帯を除く南緯42度以北の口蹄疫ワクチン接種清浄地域のステータスを 回復したことを公表した。同地域は、2006年2月に北東部のコリエンテス州で発生した口蹄疫によりス テータスが留保されていた。 長さ2,200キロメートル、幅15キロメートルに渡る国境沿いの監視地帯の設置は、OIEの勧告に基づ き、パラグアイとブラジルとの3国で合意された。OIEとパンアメリカン口蹄疫センター(PANA FTOSA)による合同調査の結果、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイの国境地域での口蹄疫ウィ ルスの存在が指摘され、このため、監視地帯を設置し、家畜の個体識別、家畜および家畜由来の製品の 移動、感受性動物に対するワクチン接種の実施など厳しい衛生監視体制が取られることとなり、同地帯 でのこれらの活動は国際的な管理下に置かれるとされている。 ワクチン不接種清浄地域の拡大を検討 またSENASAは、ワクチン接種清浄地域のステータス回復と併せて、今年5月のOIE通常総会 において、ワクチン不接種清浄地域の拡大が検討されることを明らかにした。現在、ワクチン不接種清 浄地域として承認されているのは南緯42度以南の「アルゼンチン口蹄疫撲滅計画」の中で、「南パタゴ ニア地域」と呼ばれるチュブト州、サンタクルス州、ティエラデルフエゴ州の3州であるが、リオネグ ロ州とネウケン州の一部を除く地域(注)も対象とするというものである。 ワクチン不接種清浄地域の拡大については、2006年5月のOIE総会において承認されるために3月 に申請手続きを行う予定となっていたが、2月にコリエンテス州で口蹄疫が発生したことから申請は見 送られていた。 注:「北パタゴニアB地域」と呼ばれるリオネグロ州(ワクチン接種を実施する緩衝地域として存在す る「北パタゴニアA」を除く)およびネウケン州(コンフルエンシア地域を除く)の2州を指す。 輸出促進が期待される一方、牛群の減少を懸念 衛生ステータスの回復により、アルゼンチンの牛肉輸出の促進が期待されているが、国内ではインフ レ抑制のため、牛肉輸出に対する新たな輸出税の仕組みについて検討を行っていると報じられており、 輸出の拡大は今後の輸出価格の動向によるところが大きいと見られる。 また、アルゼンチン食肉商工会議所(CICCRA)によると、1月のと畜頭数は前年同月比2.3% 増の116万3,952頭で、雄牛の前年同月比1.9%増に対し、雌牛は同26.7%増であった。さらに全と畜頭数 のうち雌牛が46.2%を占め、これは1990年以来最も高い数字となった。輸出制限、大豆やトウモロコシ に代表される農業の収益性の急速な伸びなどが、多数の家畜生産者が廃業かあるいは活動を縮小する 主な要因となっていると言われ、雌牛のと畜率の増加により、牛群の維持への影響が懸念される。 【ブエノスアイレス駐在員 横打 友恵 平成19年3月14日発】
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