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豚肉生産は引き続き安定 EUの豚肉関係者で構成される豚肉助言グループの予測委員会の需給見通しによると、2007年の豚肉生産量は、 EU25カ国(2007年1月に加盟したブルガリアおよびルーマニアを除く。以下「EU25」。)全体では、前年比 0.8%増の2,156万トン(枝肉ベース。以下同じ。)と引き続き安定して推移するものと予測している。 主要国について見ると、EU最大の生産国であるドイツでは同0.4%増の468万トン、第2位のスペインでは同 0.8%増の328万トン、第3位のフランスでは同0.3%増の227万トン、第4位のポーランドでは同0.7%増の209万 トン、第5位のデンマークでは同4.0%増の180万トンと予測している。 また、2007年第2四半期(4〜6月)におけると畜頭数予測では、ドイツ(前年同期比1.4%増)、ポーラン ド(同2.2%増)はわずかに増加、スペイン(同0.1%増)、フランス(同0.0%)はほぼ同水準となる一方、デ ンマーク(同6.0%増)はかなりの増加を予測している。 豚枝肉卸売価格、前年を下回る EUの豚枝肉卸売価格は2004年以降好調に推移し、2006年は100キログラム当たり145.3ユーロ(2万4千円: 1ユーロ=162円)と予測価格を大きく上回った。同年8月には2004年以降で最高値となる同165ユーロ(2万7 千円)を記録するなど、特に第3四半期まで好調であったが、この要因として、鳥インフルエンザ発生による家 きん肉消費の落ち込みや、ブラジルでの口蹄疫発生に伴うロシアの豚肉輸入停止措置の影響などによりEU産の 豚肉需要が増加したことが挙げられる。 2007年は、生産は引き続き安定するが、家きん肉消費の回復、ロシアへの輸出量の減少の影響を受け需要が伸 び悩み、前年をかなり下回る同135.4ユーロ(2万2千円)と予測している。 また、エタノール生産拡大の影響による配合飼料価格の上昇に伴い、生産コストも上昇し、農家の収益が減少 するであろうと予測している。 輸出は減少傾向 2006年のEU25全体の豚肉輸出量は207万3千トン(製品ベース。以下同じ。)となり、そのうち32.6%の67 万5千トンがロシア向けに、12.1%の25万トンが日本向けとなっている。 2007年は、米国産豚肉との競合によるロシア向け輸出の減少やブルガリアとルーマニアの加盟による影響を受 け、減少傾向となると予測している。 主要国の状況 ドイツ:2007年のと畜頭数は引き続き増加が見込まれている。また、デンマークやオランダからの肥育素豚、 と畜用豚の輸入については前年の伸び率以上の増加が予測されている。枝肉卸売価格は、生産量の増 加ほど消費が伸びないことなどからかなり大きく前年を下回る(前年比11.0%減)と予測している。 スペイン:2007年の生産量はほぼ前年並みと予測している。2006年に好調であった枝肉卸売価格は、2007年は 前年を5%程度下回ると予測している。 ポーランド:2007年上半期の生産量は、前年同期を上回るが、第3四半期より減少し、通年ではほぼ前年並み と予測している。卸売価格は、依然ロシアの輸入停止が続いていることから上半期は軟調に推移する ものと予測している。 フランス:2007年の生産量は、繁殖雌豚の飼養頭数がわずかに減少するものの生産性の向上により、ほぼ前年 並みと予測している。枝肉卸売価格は、特に前半で大きく落ち込み、年平均では、好調であった前年 と比較すると12%程度下回ると予測している。 デンマーク:2007年の生産量は前年を上回り、枝肉卸売価格は、第3四半期に大きく落ち込むことが予想され、 年平均では前年を8.6%下回ると予測している。
【ブリュッセル駐在員 小林 奈穂美 平成19年4月25日発】
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