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本年度のトウモロコシ生産量は大幅に増加 ブラジルの国家食糧供給公社(CONAB)によると、2006/07年度のブラジルのトウモロコシ生産量は大 幅に増加し5,105万トン(対前年38.9%増)となると見込まれている。供給量が増加したことにより輸出余力 も増大し、2007年のトウモロコシ輸出量は800万トン(2006年は392.5万トン)と倍増し、2006/07年度の国内 需要も3,950万トン(対前年6.8%増)とかなり増加するものの、2006/07年度の在庫量は大幅に拡大し949.5 万トン(対前年77.7%増)となると見込んでいる。 来年度のトウモロコシ生産量は減少か 今年度のトウモロコシ生産量は大幅に増加しているものの、関係者の間では来年度のトウモロコシ生産量 は減少するのではないかと予測され始めている。 理由の一つ目は、今年に入ってからトウモロコシの生産者販売価格が低下しているためである。いずれの 地域も昨年同月と比較して、かなりないし大幅に上回る価格水準であり、輸出港の近くでトウモロコシ生産 が行われている南部のパラナ州やリオグランデドスル州では販売価格の低下はみられない。しかし、輸出港 から離れてトウモロコシ生産が行われている南東部のサンパウロ州やゴイアス州では本年1月の価格と本年 3月の価格を比べると大幅に下落している。 二つ目は、800万トンの輸出という政府見通しの達成が困難ではないかと関係者がみているためである。 @生産者からは、ブラジル中西部から輸出港までの輸送インフラが整備されていないため、昨年を大幅に 上回る輸送を円滑に行うことは困難であること、A輸出業者からは、従来の輸出相手国に500万トン程度を 輸出することは可能であるが、残り300万トン程度をアルゼンチンと価格競争しながら新規の輸出相手国に 輸出することは困難であることが指摘されており、政府見通しより在庫量が増加することが懸念されてい る。 三つ目は、米国がエタノール生産に向けたトウモロコシ生産の大幅拡大を表明しているためである。米国 における大豆生産からトウモロコシ生産への転向が進むと、大豆需給がひっ迫し、大豆価格が上昇するので はないかという期待感がある。 これらの理由により、今後のシカゴ穀物市場の動向によるが、2007/08年度のブラジルの穀物生産について、 トウモロコシ作付面積は2%以上(約27万ヘクタール、2006/07年作付面積1,360.6万ヘクタール)減少する のではないかと関係者はみていると伝えられている。 【ブエノスアイレス駐在員 松本 隆志 平成19年5月9日発】
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