ALIC/WEEKLY
昨年より高値が続くトウモロコシ価格 黄色トウモロコシの価格については、昨年の農家販売価格(全国平均)がキログラム当たり9.1ペソ(約23円: 1ペソ=2.5円)であり、最も価格の高かった5〜6月にかけても同9.7〜9.8ペソ(約24〜25円)であった。今年 に入ってからは、同10ペソ(約25円)を超える水準が続いており、同12ペソ(約30円)を超えるケースも報告さ れている。黄色トウモロコシ価格の上昇について、大手養鶏業者や養豚業者などは供給不足をその理由に挙げて いるが、同国政府は、バイオ燃料などの需要増などによりトウモロコシが世界的に高値となっている影響を受け ているためとの見方を示している。 トウモロコシ輸入枠を40万トンに決定 このため、業界団体は政府に対し約70万トンのトウモロコシの輸入を打診したとしているが、同国政府は今年 のトウモロコシ輸入枠を40万トンに設定する方針を公表した。ちなみに、昨年、同国のトウモロコシ輸入量は、 食用およびその他など合計で約30万トンとなっている。今後、7月までに20万トン、12月までに残り20万トンの 合計40万トンの輸入が実施される見込みとしている。7月までの輸入分20万トンについては入札が実施され、米 国の大手穀物会社であるカーギルのフィリピン現地法人などが輸入業者として決定している。なお、同国におけ る黄色トウモロコシの収穫期は、乾期では1〜3月、雨期では7〜9月とされており、輸入時期については収穫 時期が考慮されたものとされている。 今回、入札が実施されたトウモロコシ20万トンについては、無税措置が検討されているものの、その方針をめ ぐっては政府内で調整が続けられるとしている。同国農務省が飼料価格への影響などを考慮して無税措置を主張 しているが、財務当局は大手飼料製造業者に特典を与えるのみとの懸念を示している。さらに、財務当局は、無 税措置を実施する場合は手続きなどに時間を要するため、代替措置として助成金の支給が必要としている。 同国農務省は、2007年上半期におけるトウモロコシ生産量を前年比8%増の約281万トンと予想していることや、 飼料用トウモロコシの輸入枠承認により、飼料価格などに対するトウモロコシの高値の影響が緩和することを期 待している。ただし、一部の業者からは、飼料用トウモロコシの輸入が予定通りに進んだとしても、現状のトウ モロコシ販売価格が現状のキログラム当たり12ペソ(約30円)を下回ることは難しいと予想されており、最終的 には販売価格に転嫁せざるを得ないとの懸念も示されている。 飼料用トウモロコシは約180万トン不足と予想 フィリピン飼料製造業者協会(PAFMI)は4月、同国の2007年におけるトウモロコシ生産量を約630万ト ンと予想するとともに、飼料用などの需要が伸びているため、国産トウモロコシのみでは国内の総需要に対し 約180万トンが不足する見込みであることを公表した。同協会は、トウモロコシの総生産量約630万トンのうち、 飼料用として用いられる黄色トウモロコシの生産量を約388万トンと推定している。 同国では、養豚業や養殖業などにおける生産量の増加が続いており、2006年の豚肉生産量が前年比3.9%増の 約184万トン、養殖業は同10.4%増の約209万トンとなっている。また鶏肉の生産量もほぼ前年並みの約120万ト ンとなっており、飼料需要は年々増加している。同協会は、2007年の養豚業、養殖業および養鶏産業における 飼料用トウモロコシの需要を約511万トンと予測しており、黄色トウモロコシの生産量から輸送や保管時におけ る損耗分などを差し引いた不足分が約180万トンであるとの見込みを発表している。 【シンガポール駐在員 林 義隆 平成19年5月17日発】
元のページに戻る