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欧州委、3種のGMトウモロコシを承認


新たに3品種の遺伝子組み換えトウモロコシの輸入を承認

 欧州委員会は10月24日、欧州食品安全機関(EFSA)からの安全評価を受け、新たに3品種の遺伝
子組み換え(GM)トウモロコシの飼料および食用の輸入の承認について採択した。今回承認された品
種は、1507×NK603、NK603×MON810および59122 Herculex RWである。これらの遺伝子組み換え体(GM
O)から作られる製品はすべて、GMOに関する規則に従った表示(ラベリング)およびトレーサビリ
ティが義務付けられる。


GMOに対する懸念残る

 従来、GMOの承認に際しては、EFSAにおいて環境への悪影響や人および動物の健康への安全性
についての評価を行い、その後、EU委員会で承認の適否について提案し、加盟国による特定多数決で
決定される。

 しかし、今回の承認では、フードチェーン・家畜衛生常設委員会において加盟国による特定多数決の
採択が得られず、閣僚理事会において欧州委員会に最終判断が委ねられ、決定されている。過去にもこ
のような手続きで承認されたケースが多く、EFSAにおいて安全であるとの評価がなされているもの
の、加盟国によってはGMOに対する懸念が依然残っていることがうかがえる。



承認手続きの遅さが経済にも大きく影響

 GMOの承認については、穀物関係団体からも、その手続きが遅いと指摘されているが、フィッシ
ャー・ボエル委員(農業・農村開発担当)も25日、ブタペストで開催されたハンガリー農業議会におけ
る講演で、承認手続きの遅さを指摘している。

 講演では、現在の穀物価格の高騰について触れ、穀物市場は、米国におけるバイオ燃料の需要増、イ
ンド、中国の穀物需要の増加、天候問題による不作の影響を大きく受け、価格が高騰しているが、これ
らの影響は一時的なものであるとしている。また、EUでは、義務的休耕(セットアサイド)の一時解
除や穀物の輸入関税の一時的な引き下げにより対応していることを強調した。さらに、EUではトウモ
ロコシの輸入が増加している中、数量を確保する上で考えなければならない問題としてGMOを挙げて
いる。EUへの主要輸出国であるアルゼンチンでは、多くの生産者がGMトウモロコシへ生産をシフト
しており、非GMトウモロコシの確保が困難となることが想定される。今後、非GMトウモロコシ供給
国はブラジルのみとなる可能性が考えられるが、この供給もいつまで続くかは不明である。よって、穀
物確保の観点からも、新たなGMOが科学的に安全であるとの評価をされた時点で、承認手続きに従っ
て承認されるべきであるとして、GMOの承認手続きが遅いことを指摘し、この承認手続きの遅さが経
済に与える影響は大きいとしている。

 なお、今回の承認された品種のうち59122 Herculex RWは、米国では既に昨年承認されているもので
ある。



【ブリュッセル駐在員 小林 奈穂美 平成19年10月31日発】

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