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1,800万トンと30%減の下方修正、干ばつの被害がさらに広がる 豪州農業資源経済局(ABARE)は10月30日、2007/08年度(7〜6月)の主要穀物の生産見通しにつ いて、前回9月公表時の2,559万トンを30%下回る1,800万トンへと下方修正した。通常、生産見通しは四半 期ごとに公表されているが、主要穀物生産地で干ばつの被害が急速に広がっていることを受け、今回は時期 を早めて公表されたもの。 今年度の穀物生産は、冬穀物のは種期に当たる4月下旬から5月中旬にかけて主要生産地帯でまとまった 降雨が記録されたことで、関係者の間には一時期、豊作との期待も持たれていた。しかし、その後の6〜10 月にかけて主要生産地である南オーストラリア(SA)州、ビクトリア(VIC)州北部およびニューサウ スウェールズ(NSW)州南部で、降雨量が平年を大幅に下回ったことで育成条件は大幅に悪化し、2年連 続して減産との見方が強まっていた。 なお、前年度は、100年に一度といわれる大規模な干ばつの影響で小麦、大麦など冬穀物の生産は前年度 比62%減の1,571万トンと大きく減少し、94/95年度の干ばつ時に次ぐ低い水準となっていた。 過去5年の平均比で4割を超える減少、NSW州は最悪の前年を下回る 冬穀物の生産見通しを9月公表時と比較すると、小麦が1,548万トンから1,210万トン(前年度比23%増)、 大麦が590万トンから505万トン(同36%増)、カノーラは112万トンから91万トン(同78%増)へといずれ も下方修正した。いずれも、昨年度の生産量は上回るものの、過去5年の平均生産実績と比べると、最大で 4割以上下回る見通し。 また、州別の生産見通しについて9月公表時との比較では、最大の生産量を誇るNSW州が514万トンか ら240万トン(前年度比11%減)、西オーストラリア(WA)州が808万トンから793万トン(同13%増)、 SA州が359万トンから373万トン(同60%増)、VIC州が457万トンから286万トン(同138%増)、クイ ーンズランド(QLD)州が104万トンから107万トン(同35%増)としている。 肉牛、鶏卵などの生産者団体、上昇を続ける飼料穀物価格への対処を要求 例年であれば10〜11月にかけてのこの時期、NSW州からVIC州の穀倉地帯では、年末の収穫に向け て実をぎっしりと詰まらせた小麦や大麦が風にたなびいているが、今年は、すでに刈り取りを終えた農地 ばかりが目につく。これは、干ばつで穀物の成長が遅く、一部では立ち枯れなどが出始めたことから農家 が少しでも収益を確保するため、生産をあきらめ牧草向けに刈り取りを行ったためである。 このような中、豪州国内で飼料用穀物を多量に使用する肉牛、鶏卵などの生産者団体は30日、連邦政府 に対し、上昇を続ける飼料穀物価格に対して何らかの措置を採るよう要求した。具体的には、連邦政府に よる飼料穀物供給の適正流通、また、輸入による安定供給などを要求の柱としている。 昨年度の干ばつ以降、国内の飼料穀物価格は上昇を続けており、今年度も不作との見通しが出される中 で、価格はより上昇するとみられている。このため、飼料穀物を利用する畜産物の生産コストは軒並み増 加しており、食料品価格への波及も顕著になっている。【シドニー駐在員 横田 徹 平成19年11月1日発】
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