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アルゼンチンの食肉パッカー他4社との交渉が進展中 アルゼンチンの食肉産業部門に投資するブラジル企業が増加している。単独で進出する企業や、 Cargill、Tyson Foodのような海外資本企業と共同で進出する企業もみられる。すでにアルゼンチ ンが輸出する牛肉のおよそ4割をこれらの企業が生産しているほか、ヒルトン枠(28,000トン)の 3割強をこれらの企業が占めている。 ブラジルのMarfrig社は9月17日、アルゼンチン資本で最大の食肉パッカーであり、ヒルトン枠の シェアも大きいQuickfood社(1日当たりと畜可能頭数は1,400頭)をはじめ、BestBeef社(同800頭) およびEstancias del Sur社(同1,000頭)の3社とウルグアイのColonia Ltda.社(同1,200頭) との買収についての交渉を行っていることを発表している。同社は2006年にはアルゼンチンにおいて、 Breeders&Packers(AB&P)社(同700頭)を買収している。Marfrig社の発表では、4社に対す る買収提案額は2億6,680万ドル(309億5千万円:1ドル=116円)で、今後50日以内に交渉が完結 されるとしている。アルゼンチンでは、Swift Armour(ブラジルのJBS-Friboiに買収)、Finexcor (米国のCargillに買収)、Carnes Pampeanas(米国のTyson Foodに買収)および、AB&Pと Quickfood社の5社で、牛肉の総輸出量の約5割を占めており、このうちの2社がMarfrig社に買収 されるものとみられている。 ブラジルは銀行の支援を受け積極的な買収を実施 ブラジルの食肉パッカーが海外での買収を積極的に行っている背景には、社会経済開発銀行(BN DES)による融資がその一つに挙げられる。BNDESはブラジル企業の育成のため、彼らの国内 外への事業拡大を支援しており、海外の対象がアルゼンチンだけではなく、ウルグアイ、最近では米 国のパッカーの買収も記憶に新しいところである(本紙通巻第769号参照)。 ウルグアイについては、PULSA社に続きCanelones社がBertin社に、またTacuarembo社ほか2社 がMarfrig 社に買収されている。こうしたことから、農牧水産省農牧計画政策局によると、ウルグア イにおけるパッカーの資本割合は、ウルグアイ資本が49%、ブラジルが34%、アルゼンチンが17%と なっている。 国内パッカー団体は相次ぐ買収に懸念 これら一連の買収により、外国企業がヒルトン枠の3割強を占めるに至り、国内パッカー企業会議 所は、ヒルトン枠が国内資本企業のみを対象とするよう法律の改正を要求している。全国の肉牛飼養 頭数の43%、と畜頭数の55%を占めるブエノスアイレス州は、この提案への支持を表明している。ブ エノスアイレス州の農業大臣であるリバラ氏は、「現在、パッカー業界に起こっている現象は重大で ある。最も懸念すべき事実は、この外国資本化と集中化のプロセスが継続する場合、被害を受けるの は畜産業者であり、パッカー側主導の生産者価格が支払われることになるだろう」と述べている。 【ブエノスアイレス駐在員 横打 友恵 平成19年9月26日発】
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