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英国、口蹄疫およびブルータングの防疫対策を統一的に管理


 英国の環境・食料・農村地域省(DEFRA)は9月24日、口蹄疫およびブルータングの防疫対策につい
て統一的に管理することとし、新たに設定した移動制限地域を公表した。


口蹄疫は8月3日以降7例を確認

  8月3日にイングランド南東部サリー州で6年ぶりに口蹄疫の感染が確認されたが、同月7日の2例目の
確認以降沈静化していたことから、同省では設定していた監視区域を9月8日正午より解除していた。しか
し9月12日に3例目が確認され、再び監視区域を設定し、防疫対策を講じている。8月3日以降7例(9月
26日現在)が確認されており、すべてサリー州内での確認となっている。

  最初に確認された2例のウイルスの型は、1967年に同国において発生したウイルスと同型であったこと、
このウイルスを保有する研究機関や製薬企業が限定されること、感染地域が限定的であったことから、早い
時期から、ウイルスの感染源が感染農場に近隣に位置するPirbrightの研究施設から流出したものであること
は間違いないとされていた。

  同省が9月7日に公表した疫学調査の最終報告では、このウイルスが同研究施設より流出した経緯につい
て断定はしていないものの、以下の可能性が高いとしている。

・汚染物質の不活化槽につながる排水施設が破損しており、7月下旬に同地方を襲った大雨により排水管内
  のウイルスが活きたまま地表へ流出したこと。

・ウイルスに汚染された土壌が、同施設より外部に出る車両のトラックに付着して、最初に感染が確認され
  た農場に移動したこと。



英国初のブルータングを確認

  また、9月22日には、イングランド東部サフォーク州で英国初のブルータングの感染が確認され、同省は
監視区域を設定し防疫対策を講じている。現在、3例(9月26日現在)確認されており、1例目、2例目の
発生場所はサフォーク州イプスウィッチ近郊、3例目は約80キロメートル離れた同州ロウストフト近郊で確
認されている。

  同省によると、1例目、2例目のウイルスの型は、ベルギー、フランス、ドイツ、ルクセンブルグ、オラ
ンダで2006年8月以降発生している型と同型であるとしている。



口蹄疫およびブルータングの統一的な管理の実施

  既に、それぞれの疾病に対する防疫対策は講じられているが、3例目のブルータングの感染が確認された
9月24日、同省は、口蹄疫およびブルータングの発生場所が比較的近いことから、同時に対処するため、移
動制限地域を統一的に管理することを公表した。

  これによると、既に設定されている口蹄疫の保護地域、監視地域、ブルータングの移動制限区域(サフォ
ーク州、ノーフォーク州)のほかに、口蹄疫危険区域、口蹄疫の危険度の低い区域、上記2州以外のブルー
タング移動制限区域を新たに設定した。また、両疾病の発生場所近くに位置するエセックス州においては両
方の移動制限の条件を課す区域として設定されている。





  同省では、高水準のバイオセキュリティーの実施が不可欠な状況が現在も続いているとしており、畜産農
家に対し、引き続きこれらの疾病に慎重に対応すること、感染の疑いのある場合はすぐに当局に届け出るこ
と、また、家畜のチェックを1日2回行うよう注意喚起している。

【ブリュッセル駐在員 小林 奈穂美 平成19年9月26日発】

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