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農務省は鶏肉の追加輸入を示唆 フィリピン農務省(DA)は、鶏肉需要が増加するクリスマスシーズンに向けて、今後、約3千トンの鶏肉 を追加輸入する必要があるとの見通しを表明した。DAは、2007年のブロイラー飼養羽数について前年比6.1% 増の3,819万羽を見込んでいる。しかし、第2四半期以降、酷暑や干ばつが長引いた影響などにより鶏肉生産 量が減少しているため、需要期に向けた追加輸入が必要としている。また、DAは鶏肉の追加輸入について、 主に大手ブロイラー企業により構成されるブロイラーインテグレーター協会(PABI)と中小のブロイラー 生産者により構成されるブロイラー生産者組合(UBRA)の合意を得たとしている。 同国では、ミニマムアクセスを中心とした輸入枠の発給により鶏肉の輸入を管理しており、昨年はブロイラ ーの主要生産地であるルソン島を直撃した大型台風の被害により鶏肉不足が予想されたため、輸入数量を拡大 する措置を実施した。しかし、PABIなどの業界団体は、昨年末に輸入数量を拡大した結果、今年の第1四 半期の鶏肉供給量が過剰になったとしており、輸入増加に対しては慎重な姿勢を示していた。 なお、DAは2008年1月をめどにミニマムアクセス枠の設定方法などの見直しに着手しておりUBRAなど は国内需給の安定に資する見直しになるよう政府に求めている。 更なる農場での畜産の推進のための提言 現在、マニラ首都圏における鶏肉の小売価格は、9月18日現在で前年比10%高の1キログラム当たり110ペソ (約275円:1ペソ=2.5円)となっており、鶏肉の供給不足がその要因と指摘されている。これに対し業界団 体は、鶏肉の供給不足についてはDAと同様の見解であるとして認めているものの、第3四半期以降は鶏肉生 産量が増加すると見通している。なお、同国における鶏肉生産に係るコストはキログラム当たり約60ペソ(約 150円)とされているが、業界団体は飼料費や燃料費などの生産コストが上昇しているため、鶏肉生産を継続す るためには農家販売価格に20ペソ(約50円)の転嫁が必要としている。 生産量低下が鶏肉輸入を促進 同国の鶏肉消費に占める国産鶏肉の割合は95〜97%となっており、鶏肉需要の大半は国産が占めている。鶏 肉生産量については、2004年までは増加傾向で推移していたが、2005年に同国でも高病原性鳥インフルエンザ (HPAI)の発生が疑われたことや昨年の台風被害の影響などもあり、2005年以降の生産量は減少傾向で推 移している。 このことが、季節需要などに対応するため鶏肉の輸入を実施せざるを得ない要因となっており、同国の鶏肉 輸入量は、2004年が約2万1千トン、2005年が約2万6千トン、2006年が約3万4千トンとここ数年増加傾向 で推移している。【シンガポール駐在員 林 義隆 平成19年9月27日発】
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