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粉乳輸出停止措置を延長せず(インド)


粉乳の輸出停止措置の期限延長はせず

  現地の複数の報道によると、インド政府は、9月30日を期限として2月から実施していた粉乳の輸出停止
措置について、期限の延長をしないこととした。これにより、10月1日から脱脂粉乳、全粉乳を含む粉乳の
輸出が可能となった。
 
  インド政府は、乳製品価格の上昇によるインフレの懸念と、暑期(4〜5月)の生産性低下に伴い予想さ
れる脱脂粉乳不足を解消するために、2月9日付け商工省商務局外国貿易部告示第45号により、脱脂粉乳、
全粉乳を含む粉乳の輸出を停止していた。この告示では、輸出停止措置の期限を9月30日と定めており、そ
れ以降の取り扱いについては、状況を勘案して判断するとしていた。
 
  この措置については、記録的な高値で推移する粉乳の国際価格を背景に加工業者から根強い解除の要請が
あった一方で、輸出再開に伴う国内の供給不足と価格上昇を懸念する声もあり、政府の判断が注目されてい
た(海外駐在員情報通巻第782号参照)。





粉乳輸出再開を歓迎する声

 国内最大の州酪農業協同組合連合会で粉乳の加工業者でもあるグジャラート州生乳販売業協同組合連合会
(GCMMF)の関係者は、輸出再開に伴い、粉乳の余剰生産分を高値の海外市場に輸出するという選択肢
が生じることで、生産コストが上昇している農家に対する買い取り価格の引き上げと農家の生産意欲の向上、
生乳生産の増加が図れると、この決定を歓迎している。GCMMFなどの酪農業協同組合連合会や加工業者
はこれまでも、粉乳輸出停止措置により国内の脱脂粉乳などの価格が低下しており、この措置が継続されれ
ば農家の生産意欲が損なわれるとして、輸出再開を強く求めていた。




価格上昇に対しては輸出停止以外の手段を

  一方、この決定に先立ち消費者団体は、10月21日から始まる祝祭シーズン前の輸出再開は、国内の供給不
足とこれに伴う価格上昇を引き起こすと懸念を表明していた。こうした声に対して、農業省畜産酪農水産局
の関係者は、現在粉乳は十分な量が確保されており、価格上昇の可能性は低いが、輸出再開に伴う価格上昇
が見られた場合は、輸出停止以外の手段によりその抑制を図ると述べている。





【シンガポール駐在員 佐々木 勝憲 平成19年10月4日発】



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