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3年前の水準まで落ち込み 2007年に入ってからアルゼンチンの主要乳業メーカーの生乳取扱数量は減少し、2007年1〜8月は前年同期比 13.3%減の320万5千キロリットルとなっており、2004年1〜8月とほぼ同程度の水準まで低下している。 生乳取扱数量の減少の要因として、主要酪農地帯を中心とした昨年の春の干ばつ、その後の夏の水害や冬の霜 害による牧草の生育状況の悪化などが挙げられるが、今年の春は昨年に比べ雨も多く、牧草の生育には良好な気 象条件となっている。 資料:アルゼンチン農牧漁業食糧庁 注:主要乳業メーカーの生乳取扱数量(全国の生乳生産量の約6割に相当) 生乳生産の早急の回復は見込み薄 このように生乳の供給量が減少していることから、2006年10月の生乳価格は1リットル当たり約0.15ドル(17 円、1ドル=116円)であったが、2007年10月は約0.24ドル(28円)まで上昇している。しかしながら、牧草の育 成状況が回復し、生乳価格が上昇しても、2004年の5%増程度が上限で、生乳生産は容易に戻らないと関係者は 見ている。 これは、 @夏に水害によりほ場整備の必要性に迫られた経営のうち、現在の生乳価格は一時的な上昇であると考える経営 者は、より高い収益が見込まれる大豆作経営などに移行している状況が見られること A一方、現在の生乳価格が今後とも継続すると考える酪農経営者は意欲的に生乳生産を拡大しようとしている状 況が見られることから生産者によってその対応が異なること がその要因として挙げられる。 これまでアルゼンチンでは経産牛1頭当たり年間生乳生産量4,000キログラム程度の放牧酪農が中心に行われて きた。しかしながら、生乳価格が上昇し、生産費も上昇した2007年の水準が今後続くのであれば、1頭当たり乳 量の大幅な増加を見込むことができる穀物飼料を多給する飼養の優位性が増すことから、今後は積極的に導入さ れる可能性もあるのではないかと考えられる。 【ブエノスアイレス駐在員 松本 隆志 平成19年10月24日発】
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