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アルゼンチン、生乳生産の減少から乳製品輸出減


粉乳などの輸出量の減少が顕著

  アルゼンチン国家動植物衛生機構(SENASA)によると、2007年1〜7月の乳製品輸出量は前年同期比
5.7%減の17万4,211トン(製品重量ベース)となった。チーズおよびその他の乳製品は前年同期を上回ったも
のの、粉乳などが前年同期を大きく下回ったことが影響した。このため、前年同期は粉乳が乳製品輸出量の
65.4%を占めていたが、2007年にはその割合を55.0%に下げている。一方、輸出額は豪州の干ばつの影響など
による国際価格の上昇を受け、同2.3%増の4億3,113万ドル(500億1千万円:1ドル=116円)となった。






2月から適用の輸出税も減少要因に

  乳製品の輸出量減少の要因の一つとして、主要酪農地帯を中心とした干ばつ、その後の水害や霜害による
牧草の生育状況の悪化などによって生乳生産量がかなり大きく減少したことが挙げられる。1〜6月の生乳
生産量は、前年同期比13.3%減の413万7千キロリットルとなった。中でもサンタフェ州では、北部および北
西部の約300万ヘクタールが干ばつの被害を受けたと伝えられている。これを受け、主要な乳業メーカーは国
内向け乳製品の供給を優先するため、粉乳やLL牛乳の輸出を自粛するなどしている。

  また、乳製品の国際価格の上昇により、国内市場への供給不足のおそれがあることから、今年2月から乳
製品向け輸出税の制度が適用されており、このことも輸出量の減少に起因している。現在、粉乳の輸出価格
は1トン当たり4,500〜4,800ドル(52万2千〜55万7千円)で推移しており、輸出税は1トン当たり2,347
〜2,645ドル(27万2千〜30万7千円)であることから、実質の輸出税率は50%を超えると見られる。


 
国内市場向け生乳に対する補てんを実施

 こうした中、国家農牧取引監督機構(ONCCA)は、乳業メーカーを対象とした補てんの実施を定めた
決議第1984/2007号(2007年7月13日付け)を公布した。これまで酪農部門のうち酪農経営のみを対象とし
ていた農畜産部門への助成制度に乳業メーカーも組み入れ、制度の強化を図ることが必要とされたためとし
ている。2007年2〜4月の間に国内市場向けの乳製品製造のために受け入れた生乳の価格を補てんするもの
で、各月の生乳受け入れ量に対し、乳業メーカーが支払った1リットル当たりの平均価格と政府と乳業メー
カーとの間に取り決められた生乳価格0.51ペソ(18円:1ペソ=36円)の差額が支給されることになる。

 同措置の最初の受給企業は、マステローネ社とサンコール社であり、補てん額はそれぞれ1,800万ペソ(6
億4,800万円)と1,480万ペソ(5億3,280万円)となっている。
 



【ブエノスアイレス駐在員 横打 友恵 平成19年8月29日発】

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