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米国におけるカナダ産生体牛・牛肉輸入をめぐる動向


米連邦控訴裁、カナダ産生体牛輸入などに関する現行規則を支持

 米国連邦控訴裁判所(第9巡回区)は8月28日、米国牧場主・肉用牛生産者行動法律基金協会(R-CALF)
が求めていた、カナダ産生体牛および牛肉輸入に係る米国農務省(USDA)の規則取り消しの申立てを全面的
に棄却する決定を公表した。

 R-CALFは、2005年1月に公表された現行の輸入規則に対し、カナダ産生体牛の輸入は、米国に対しBSE
のリスクをもたらすことになるとし、これまで再三にわたり輸入措置の取り消しを強く訴えていた。これに対し、
USDAは、カナダにおけるBSEのまん延防止措置が適正に実施されていることを一貫して主張してきた。

 今回の判決は、USDAがカナダをBSE最小リスク地域とした認定を論理的根拠に基づくものであると結論
付けており、カナダからの30カ月齢未満の生体牛および30カ月齢未満の牛由来の牛肉輸入を認める現行規則は適
正であるとした2006年4月のモンタナ連邦地裁の判決を支持するものである。



連邦控訴裁、2005年7月にも現行の輸入規則を承認

 カナダから米国への牛肉および生体牛輸入については、カナダでBSEが確認された2003年5月、USDAは
それぞれの輸入を一時停止した(30カ月齢未満の牛由来の牛肉輸入については同年8月に再開)。その後、米国
は2005年1月、カナダをBSEの最小リスク地域と認定し、同国からの30カ月齢未満の生体牛や、月齢を問わず
(特定危険部位を除く)すべての牛肉の輸入を認める規則を公表した。

 この規則は当初、同年3月7日より発効することとされていたが、30カ月齢以上の牛由来の牛肉輸入について
は、当時カナダにおける飼料規制に関する調査が終了していなかったことから、USDAは規則適用を保留して
いる。

 また、30カ月齢未満の生体牛輸入については、同年3月、R-CALFがモンタナ連邦地裁に同規則の差し止
め申請を行い、これが認められたことから先延ばしされた。USDAはこの仮処分を不服として連邦控訴裁に控
訴し、同控訴裁が先の差止命令を覆す決定を下したことにより、同生体牛の輸入は同年7月より再開され、現在
までこの条件下で貿易が行われている。

 

現行規則を緩和する最終規則は年内にも実施の見通し

 両国における食肉業界団体の多くは、今回の判決を評価するコメントを公表した。アメリカ食肉協会(AMI)
のボイル会長は、「今回の決定は、カナダとの肉牛貿易の回復を促進し、両国にとって有益なものとなる」と述
べた。また、全国食肉協会(NMA)のカーペンター理事長は、「われわれは、裁判所の適正な決定を称賛する
とともに、同国との貿易の正常化に向けさらに前進していく必要がある」とし、30カ月齢以上の生体牛の輸入再
開の必要性を示唆した。さらに、カナダ肉用牛生産者協会(CCA)のスタントン会長は、R-CALFが今後、
連邦最高裁へ上訴する可能性を示しつつ、「今回の決定により、根拠のない司法上の争いは終結されなければな
らない」と述べた。

 USDAは本年1月初め、現行の輸入規則を改正し、牛肉については月齢による輸入制限を撤廃するとともに、
生体牛については輸入条件を99年3月以降に生まれたものに緩和する規則案を公表した。この改正案は、既にパ
ブリックコメントの受付けを終了し、現在行政管理予算局(OMB)内で協議が行われているとされている。今
後、9〜10月頃には最終規則が公表され、最短で60日間の周知期間を経た後、早ければ年内にも実施される見通
しであるとされている。



【ワシントン駐在員 唐澤 哲也 平成19年8月30日発】




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